市議会 保健・福祉委員会視察

〜保健・医療・福祉の連携 〜

病院で運営している福祉・介護の施設です。当日は残念なことに大雨で写真が撮れませんでした。
病院で運営している福祉・介護の施設です。当日は残念なことに大雨で写真が撮れませんでした。
10月5日(水)、市議会の保健福祉常任委員会で保健・医療・福祉を総合的に担っている広島県尾道市にある公立みつぎ総合病院を視察しました。
 平成17年に尾道市と合併した旧、御調町(これでみつぎと読みます)。御調国保病院(現、みつぎ総合病院)に昭和42年、長崎大学から赴任した山口医師は田舎の病院では行えなかった外科手術をし、それだけでも当時は画期的なことでしたが、せっかく手術をしても退院して自宅で療養していた患者さんが寝たきりになってしまっていることに気づきました。「いくら治療をしても、在宅での生活のフォローをしなければ、治療自体も無意味になりかねない。」と気づいたところからこの病院での改革が始まったのです。
まず、寝たきりゼロを目指して、ひとりひとりにあった在宅医療・ケアをおこなう。カルテは電子化されており、ひとりひとりのこれまでの経過はすぐに確認できます。在宅のベッドも病院のベッドの1つと考え、在宅プランを作成し、家族の不安解消のためにも退院後はおためし在宅ケア期間を設けます。もし、在宅が無理と判断すれば施設も考える。こうした成果は在宅老人のうち、寝たきりは1%という数字に表れています。
その人にとってどうすることが一番いいのかを考える。つなぎ目のない医療・介護をめざす・・・という山口医師のことばにあってほしい医師の姿を見ました。
また、医療、福祉(介護)は事後的なものであり、「もっとも大切なのは、保健(予防)であり、その指導を担う保健師の役割は大変大きい」。予防講座として、医師を中心に保健師、行政がチームを組み、たくさんの人が参加できる夜、この地域の7千人を42箇所の集会所にわけ、健康座談会を2年に1回ずつ実施しています。1世帯に一人参加すればなど、認識が不十分な場合もあるというお話でしたが、7000人に42箇所ということは170人ごとに1箇所、それも医師や保健師に直接相談できる場が自宅の近くに提供される。予防も積極的に出向かなければ効果は得られないと考えているということでした。
そして、目指す方針の達成のためには財政面も重要です。病院経営では、施設の建設がつきもののため、補助金がなければ成り立ちえません。補助金をうけるためにはそれぞれで一定の基準を満たす必要がありますが、一番効率の良い形で行っていくという方針を持っています。施設は必要になった時に必要なだけ増築する、それぞれの施設で必要でも共用できるものは共用する・・・といった、見た目の立派さではなく、実をとる、それぞれの事業ごとの採算性ではなく、必要な事業は実施し、全体として採算がとれればいいと考える。その結果、効率化も図られ、全体として黒字経営が続いています。
市立病院をもたない清瀬市でこのまま導入することは不可能ですが、この地域の医療の核となっている公立昭和病院とかかりつけ医である地域の医師、清瀬市がおこなっている検診や介護予防などの保健事業、事業者がおこなっている介護サービス、これらをつなぎあわせていくことで保健・医療・福祉の連携を図り、一人一人のカルテを作り、本当に必要な医療や介護、生活サポートを総合的にコーディネートする。
清瀬市でも、みつぎ総合病院の目指すこうした「地域包括ケアシステム」を目指すことは不可能ではないと思っています。