ひとりひとりが輝く、文京区立柳町小学校の特別支援教育

10月5日、市議会の同じ会派の方の紹介で、文京区の小学校での特別支援教育の取り組みを視察させていただきました。

学校現場にはなかなか入れる機会がないため、貴重な機会です。柳町小学校は、後楽園駅にほど近い、まさに都心の学校です。ただ、学校付近は昔ながらの下町の雰囲気も残っていて、地域のつながりもまだ残っている感じがしました。

平成19年度、特別支援教育が導入され、柳町小学校ではそれまでの情緒障がい学級と知的障がい学級が、主に情緒障がいの特別支援学級として再編されました。現在の秋山明美校長は、この時からこの小学校の特別支援教育を推進してきました。

柳町小学校では、すべての児童が交流学級と呼ぶ通常学級に籍を置き、必要に応じて特別支援学級にも籍を置きます。現在、全校生徒302名のうち、3つの特別支援学級に、29名在籍しています。

特別支援学級に籍を置く児童も、通常学級である交流学級でできるだけ多く過ごすことで、すべての児童が関わり合い、お互いに学び合うことを主眼にしています。 

具体的には特別支援学級に籍を置く児童も、

・朝は自分の交流学級に登校し、朝の会に参加し、日直や給食当番、係活動など、学級での役割を分担しています。

・交流学級の児童とともに、学校行事に参加します。

・さらに、学年を超えた、たてわり班の活動を通して清掃活動などにいっしょに取り組み、ソーシャルスキルトレーニングになっています。 

交流学級にのみ籍をおく子どもたちは、こうした日常を通して、いろいろな個性を持った人がいることがあたりまえで、大人のように特に意識することなく、一人の友だちとして接しています。さらに、自分が役に立つことで、自己有用感が生まれます。秋山校長が「この中に特別支援学級のお子さんもいるんですよ。」と交流学級をいくつか拝見しましたが、みなクラスの一員として自然に溶け込んでいることを感じました。 

特別支援学級に籍を置く児童には、特別支援教育における個別の支援計画が作成されます。具体的には、毎週、ひとりひとりに必要な教育的支援を行うための時間割を作成しています。

また、特別支援学級用の職員室をなくし、学年ごとに交流学級の担任と、特別支援学級の担任が隣になるように配置し、情報の共有や時間割づくりをしています。 

秋山校長は、「私もある校長の言葉に触発されて・・・」とこの教育方針のきっかけとなったであろうことに触れられました。それ以上お聞きできませんでしたが、おそらく秋山校長の教員人生を変えるほどの影響力をもった方の言葉だったのではないかと、勝手に想像しました。そういう出会いが教師を変え、学校を変え、児童を変える、今は、秋山校長がこの学校の教員たちを変えていることを、ひとりひとりが生き生きと過ごしているこの学校の子どもたちを通して感じました。 

最後に、この柳町小学校の取り組みは、特別支援教育に限らず、男女平等を含むひとりひとりの人権の尊重や自尊感情の醸成に大きな成果があると確信しました。