切れ目のない丁寧な支援

10月15日、清瀬市議会の福祉保健常任委員会で、滋賀県湖南市の発達支援システムを視察しました。

湖南市は人口5万5千人、一般会計の予算規模180億と清瀬市より少し小規模です。

滋賀県は、従前より障害者への支援が進んでいますが、そうした中、平成11年、湖南市の前身である旧、甲西町に発達障がい者への支援を進めるための署名が提出され、平成14年発達支援システムが開始されました。その後、平成18年、市民参加で「障がいのある人が地域でいきいきと生活できるための自立支援に関する湖南市条例」が制定され、今日に至っています。 

この条例の特徴は、

○障がい者の保護者の発意により、「市民の責務として、障がい者とその家族は、社会の一員として自立に努めるものとする」

○保健・福祉・医療・教育・就労の関係機関が連携して、発達段階に応じた必要な支援である「湖南市発達支援システム」を構築し、運営すること

という条項が設けられていることです。 

子どもの自尊感情を育む、発達障がいのある子どもにふさわしい子育てをめざした、発達支援システムの特徴を簡単に紹介します。 

★0歳から25歳まで、発達支援室が関係機関をコーディネートし、一貫した支援を実施。

湖南市HPより

★まず組織として、

この発達支援システムは、健康福祉部にある発達支援室が中心となり運営されています。

室長は学校教育課の教頭職の方が担っています。この人事は大変珍しいですが、学校との連携において大変有効であるということでした。

★組織内の連携

発達支援室と市内の幼稚園・保育園、小・中学校は、ITネットワークKIDSというイントラネットでつながり、メールを使い、日頃の様子や必要な支援を早期に構築するための連絡を取り合っています。

また、本人を取り巻く環境が変わるたびに支援室の職員が訪問し、これまでの経過や必要な支援を依頼します。高校はもちろん、大学、就労先にも訪問しているということでした。その後も定期的に状況を聞き取り、状況の変化があった場合などは支援室への連絡を依頼し、継続的な支援ができる体制を作っています。

就労は、商工観光労政課が担当しているところも、支援と考えがちな障がい者の就労を、自立という視点でとらえている姿勢がうかがえました。支援期間を25歳までとしているのは、継続して就労することが自立のためには必要なことから、就労後も引き続き支援を続ける一方で、この年齢くらいまで就労が続けばその後も安定して就労を継続できる場合が多いためです。

どのような支援があれば自分自身が自立した生活ができるのか、本人に自覚してもらうことが大切であり、周囲の方に自ら支援をお願いできれば環境の変化に対応していくことができます。

★保護者との連携

保護者に障がいの事実を伝える時期、タイミングについては、とても気を付けているということでした。保護者が納得して受け止めることは、十分な支援や療育をおこなっていくうえで欠かせません。タイミングを誤ると、二度と来所しない、支援を拒否する、保護者がうつ状態に陥るということが起こり、結果として支援を必要とする子どもに必要な支援が届かないということになってしまいます。 

今後の課題としては、

早期対応、早期支援の充実、

発達障害を起因とする二次的な障がいの防止をさらに進めていくこと、

システム継続のための人材の育成

などがあげられましたが、様々な面で行政の横連携がますます必要となっている今、その手法という点でも、大変参考にできる視察となりました。

湖南市役所前で委員会のみんなと