地域の寄り合い処 小金井市の「また明日」

2012年12月5日 01時44分 | カテゴリー: まちづくり, 活動報告, 福祉・医療, 視察

11月7日、小金井市の複合型施設「また明日」を市民グループの方たちと視察しました。

懐かしさを感じるほっとする居場所

ご夫婦が中心となり、「地域の寄り合い所 また明日」と「地域密着型の認知症デイサービス」、「認可外保育事業」の3つを同じ施設内で運営しています。

施設となっているアパートは、オーナーが木造の6室続きの壁をすべて取り払い、グループホームを開設しようとしたものの、さまざまな基準をクリアすることができず、断念したというものでした。入った瞬間、なんだか懐かしくほっとする感じがしました。 

私たちが伺ったのはお昼御飯も終わった午後で、高齢の女性たちが5~6人ソファーに座り、その周りに保育園利用の子どもたちが3人ほど座ったり、抱っこされたりしてなごやかに過ごしていました。みなさん、大きな声で話をしていましたが、その向こう側では1歳くらいと思われる子どもたちが5~6人、すやすやと寝ている姿も見られ、きっと午前中たくさん散歩ができたんだろうと思いました。 

時計の針がずっと昔に戻ったうえ、ゆっくりと時間が過ぎていく感じがしました。子どもたちにとってもこんなにゆったり過ごすことは、家庭ではなかなかできなくなっているのではないかと思うと、貴重な場でもあると感じました。 

受け止めてくれることの大切さ

施設長の森田さんがここを開設したきっかけとなったのは、20年前、勤務していた特別養護老人ホームにダウン症の女の子が交流事業で訪れた際、寝たきりの方の手を自然に握り、普段ほとんど反応がない方だったが、その手をぎゅっと握り返し、それをきっかけに定期的な交流が始まったという出来事だったという。このことを通して、手を握るというだけの交流だが、お互いに受け止めてくれる人がいることの大切さ、自然にこうした交流ができる場の必要性を強く感じたということでした。 

また、どの方がデイサービスの利用者かわからないくらい、それぞれ自然体で過ごしていました。軽い認知症の方の中には、子どもたちの遊び相手になったり、また自分の得意なことを放課後やってくる小学生に教えたりといった役割を担うことで、症状が改善するという効果があるようです。一方、小学生はそうしたかかわりの中で自然に習慣やルールを学ぶしつけの機会にもなっています。スタッフは危険な場合のみ手を差し伸べ、見守ることを基本にしているということでした。

大人に限らず、みな役に立ちたいと思っている。だれかに気持ちを向けることが人としてとても大切である、何かしてもらったり、してあげたりというかかわりが必要だということです。 

普段着の専門家が作る地域のつながり

「また明日」はさまざまなメディアで紹介されており、当日もNHKの取材が来ていると

 

お聴きしましたが、いらっしゃるみなさんがあまりにも普段の姿で自然体なので、言われるまで気づかないくらいでした。また、取材を受けたり、地域の人が自由に出入りできるようにしているのは、閉鎖的な空間にせず人目にさらすことで自らを律するためということでした。 

ちょうどよい物件を探していた施設長の森田さんがこの地域の方に相談したところオーナーに紹介して下さり、そのまま借受けることができたということで、地域の方からは何ができるのかという不安の声よりも、資金的な心配

 

をしていただくなどの声の方が多かった、そんな地域だからできたのかもしれないということも伺いました。きっと自然体でありながら、必要なことをやり遂げていく熱意を感じる森田さんのお人柄が地域の方をそうさせているのではないかと思います。 

さらに今後は、施設内でのサービスということに限らず、体験農業をするなど、若年性認知症の方や男性のためのデイサービスも考えていきたいと、常に課題を解決していく姿勢を感じました。

「本当にやりたいのは人と人とのつながりのきっかけを作る寄り合い所で、これを普通の市民がすることが大切であることだが、寄り合い所が必要ない地域社会になってくれるのが一番の理想」とお話は心に響きました。

多世代交流の場(また明日HPより)

ご自分の孫のように(また明日HPより)