同一価値労働、同一賃金

2012年12月19日 14時58分 | カテゴリー: 人権, 女性, 活動報告

12月15日、清瀬市男女共同参画センターの人権習慣記念事業で「正社員じゃないと低賃金は当たり前?」と題した講演会が開催されました。

講師の竹信さんは新聞記者のころから非正規雇用などの労働問題に向き合い、現在大学で教鞭をとっていらっしゃいます。

小西も有期で低収入の非正規雇用が、特に若い世代で広がっていることは深刻な問題だと日頃から感じており、問題解決の糸口を見つけることができるのはと思い参加しました。

 

ILO憲章では、不正や窮乏をもたらす労働条件により社会不安が生じれば、世界の平和や協調が危うくされるとして、労働時間の規制、失業の防止、最低生活賃金の支給、労働災害からの保護、同一価値の労働に同一賃金とすることを掲げている。

 雇用期間については世界的には無期雇用が原則だが、日本では有期雇用が増え続け、特に15歳以上25歳までの層では、半分が非正規という状況である。

また、可処分所得が中位の半分以下の人口の割合である相対的貧困率は2000年の調査で13.5%とOECD諸国の中でアメリカについで高い。

 賃金差別と背景

日本では、男が会社で長時間労働をして家族を養う反面、女は家庭で無償労働をして税金を節約するという自民党福祉部会の創った日本型福祉社会構想に支配されてきた。その中でお小遣い程度の賃金でも困らない人々というカテゴリーでパートが創られてきた。

男女雇用機会均等法は男性と同じ長時間労働を女性に強いることになり、総合職と一般職というコース別の賃金体系(差別)を作れるようになった。派遣法は、男性のような長時間労働ができない女性を救うはずだったが、無期雇用、転勤、職務内容が同じ場合のみ同じ賃金にすればよいというパート労働法の改正とともに有期雇用を激増させる要因となった。女性の貧困の始まりは男女雇用機会均等法、派遣法の制定といわれている。

 労働基準法には男女間の同一価値労働同一賃金を謳っているが、「同一」についての基準時は不明。

そのため、新時代の日本的経営として、経団連も勧めるコスト削減の一環として正社員は一部で、あとは非正規という体制がかつて女性のみだったところから、男性も含む全体に広がっていった。かつての日本的経営は、黄金の1/3と呼ばれる、人件費、配当、投資への配分が理想とされたが、賃金を下げることができるようになり、人件費のみ減り続けている。

正規か非正規化で賃金が異なる→スキルを磨いても賃金が上がらない→人材が育たないという悪循環に陥っている。

 

差別是正が必要

労働の価値を基準にした賃金ではなく、雇用形態を基準にした賃金になっているのが日本の現状である。つまり、同一の労働について同一の価値でない日本は、賃金差別が存在していると言え、差別の是正が必要である。

・同一価値労働、同一賃金を担保する法律の整備

・同一についての客観的な基準の整備(日本では、企業にとって重要な基準、スキルと責任のみ規定されている。成果主義も企業にとって重要な基準)

 :欧州では、スキル・責任・負担・労働環境という4つの観点から職務を分析し、評価す る方法を法律で規定している。

オランダでは、労働者は無期雇用で、働ける時間だけ働くという意味で短時間勤務のパートという形態があるという位置づけのため、時間当たり賃金は同一価値労働なら同じ。このことで働く女性が増え、内需拡大、景気回復につながった。 

・労働局などに賃金の審査を行う第三者機関を設置

・各職場では、正規・非正規・男女の賃金分布を作り、偏りが合理的かを労使で話し合い、不合理な場合は景気好転時に格差の縮小を図れる賃金交渉を行う。

差別は、上にいる働き手を守るものではなく、いつでも突き落とされる穴であり、差別是正は、結果として企業の健全な成長につながる。

 

衆院選、都知事選の投票日前だったこともあり、人件費が下がらなければ内需が拡大したはず、という選挙の争点に触れるお話もあり、期限なく安心して働けること、生活の保障としての賃金の格差(差別)をなくすことが喫緊の課題であると感じた講演会でした。