自然エネルギー&市民電力 ドイツ・デンマーク視察(ドイツ編その5)

2013年7月10日 01時07分 | カテゴリー: エネルギー, 市民自治, 活動報告, 環境, 視察

グリーンピースエナジー 

グリーンピースエナジー社は、1998年グリーンピースのドイツ支部により設立された電力会社である。自然エネルギーにより国内のエネルギー需要100%を目指せること、固定価格買い取り制度の効果を示すことを目的としている。

ドイツの電力市場自由化により、消費者が電気を自由に選べるようになったが、6万人の再生可能エネルギーが使いたいという国民に応える電力提供者がいなかったことも設立のもう一つの理由である。当初は反原発運動をきっかけにした186名の顧客だった。現在は2万2,300人の組合員で構成され、水力には11万人の顧客がいる(フクシマの前は9万6千人)。市民の意識は高く、再生可能エネルギーに関心はあるが、ドイツ国民の多くはコストとの比較で電力の購入先を選択していることがうかがえる。そんな中、単に原発はこわいと強調し、再生可能エネルギーの普及を図ろうとする企業もあるが、冷静な対応が必要である。

顧客の5人に1人が組合員であるため、出資金で独立運営できるようになっている。国内北部に風力発電所8か所(48メガワット)、南部に太陽光発電所3か所(6メガワット)を持つほか、水力発電所の建設にもかかわっている。今後5年で43メガワットの建設計画を予定。現在の水力による電気は国内とオーストリアの発電所のものを、市場から購入している。

風力は需要と供給の調整が難しいが、今後は風力の比率を増やしていきたいと考えている。風力建設についても反対派はいるが、さまざまな専門家を呼んだ公聴会を開催するなどして、2年くらいかけ丁寧に説明を行っている。

供給する電力は、現在すでに再生可能エネルギー100%を達成しており、90%小水力、10%風力である。常にどこの発電所から購入しているかをHPで公開。また、顧客には常に再生可能エネルギーの発電所を増やしていくことを約束している。今後は風力ガス(風力発電であまった電気で水を分解し、できた水素をガス化して利用するもの:風車の電力の蓄電)を推進し、5%の供給量upを目指す。風力ガスは既存のガス管を利用して供給することができ、国内40万kmの配管を利用することができ、現在企業も含め、7000人が顧客として利用している。

組織は組合である。何口(55~5500ユーロ)出資しても、一人1票の採決権。現在の出資金合計は1200万ユーロだが、8000万ユーロを目指している。4年任期で代表を50人選出。まだ配当はおこなっていない。最近では当社の供給価格がこの地域ではもっとも高いが、グリーンウォシングではない、本来のグリーン電力を使用していること、州や国へ働きかける政治的な活動もおこなっていることが、顧客の増加につながっているとスタッフはみている。

グリーンピースエナジーのスタッフ13名は、ドイツのエネルギー政策が法、政治も再生可能エネルギーの促進に向かうために以下の活動を行っている。

・ロビー活動:再生可能エネルギー法にかかわる委員会への参画など

・キャンペーン活動:脱原発、脱化石はコスト増で無理だとの世論に対し、実際のコスト調査を行い、結果をニュースやTVで公開

・マーケティング・リスク・成長分野の調査

グリーン電力を選べるように、制度・法律・市場の仕組みを変えるための政治的活動をこれからも行っていく。再生可能エネルギー発電を進めるように社会全体の議論にすることが大切である。契約の自由化を進め、再生可能エネルギー法をより良いものにしていく必要がある。これに伴い、グリーンピースエナジーも変わっていくのではないかと思っている。

さまざまな地域で自治体が運営する電力会社もあるが、地方都市などグリーンピースにあまりいいイメージをもっていない市民の多い自治体では、自治体の運営する電力会社にいったん売却し、そこから各市民が購入するという手法もとっており、競合するものではないと考えている。

2001年に設立された子会社のプラネットエナジーは風力発電機の製造や整備を行っている。20年間据え置きの、企業や市民からの出資900万ユーロと、市中銀行からの借り入れ400万ユーロで事業を行っている。

風のよく吹く北部に集中している風力発電だが、ローターの大きさを拡大し、塔の高さを200mにすることで南部にも土地を賃貸し、出資金により製造した風車を建てている。また、一般の市民ウインドファームにも風車を提供している。