指定管理者制度で、サービスの向上は図れるか

2014年4月10日 12時13分 | カテゴリー: まちづくり, 子ども・教育, 市民自治, 活動報告, 総合計画, 視察

それぞれの本棚の脇には椅子が配置されていて、ちょっと読んでから借りたいときなど便利。小郡市立図書館HPより

前回報告した図書館の視察は、指定管理者制度についても考えさせられる機会となった。

特に福岡県の小郡市立図書館は、もともと市が出資した公社が指定管理者であったが、その公社の解散に伴い、市直営に戻したという経緯がある。

図書館に限らず、指定管理者制度の導入は、全国の自治体で進んでおり、その在り方について十分に検討されているのか疑問に思っていたところだ。清瀬市においても、指定管理者制度を導入している施設があるが、コスト削減や丸投げということばが浮かんできてしまう。

そんな中、指定管理者制度とはどういうものなのか、指定管理者と市直営の双方の図書館長を経験し、直営としてのあるべき姿を再認識された永利和則小郡市立図書館長からお聴きした。

 

1.指定管理者制度とは

・行政サービスの質の向上のため→直営でもまだできることがある

・官制ワーキングプアの創出→専門職のダンピング

・最長でも5年程度での更新→一貫した事業構築が不可能、不安定雇用

・契約の範囲内での運営・管理→新たなニーズへの対応は新たな契約と予算が必要

・行政としての専門職の喪失→契約内容の正確な評価や改善指示、課題解決の政策立案が困難に

・責任は自治体→制度の選択責任は自治体であり、議会であり、住民

 

2.指定管理者の置かれる立場とは

・指定管理者は民→公の場での発言権がない、直接交渉ができない、政策決定に関われない、職員体制の改善ができない

・2つのヘッド→民の会社と行政の担当課

・行政の情報が入りにくい→行政の担当課を通じてしか入らない

 

3.指定管理者制度の趣旨と異なっている現状

・真のねらいは自治体の組織防衛になっている→職員定数の削減

・本来あるべき行政サービスに対する自治体職員の認識の欠如

・市民の目の前にいる指定管理者と市民の目から遠いところにいる指定管理者の監督者である行政

  

4.再考すべき課題

   ・施設が目指すべき姿を明確にする必要

   ・その施設が属する職制の職員の中にあるべき姿を理解できる人を養成する必要

   ・行政職の長の権限は大きい(直接交渉ができる)ことを再認識する必要

 

5.指定管理者制度導入にあたっては、

①明確な目的や方向性、管理の基準の明確化

②行政の監督の在り方と管理者の裁量範囲の明確化

③収益事業の範囲と運用の明確化

④人材確保に支障のない委託料の価格設定と経営努力によるインセンティブ

⑤適切な指定期間の設定と事業者切り替えの際の継続性の保障

が必要である。

 

制度導入は行財政改革の一環として清瀬市では実施されてきているが、あるべき制度を考えると改革の主たる目的である“コスト削減”につながるかは疑問だ。しかも、制度を利用する行政が明確な目的を持ち、主体的に監督しなければ、指定管理者制度導入の本来の目的である「サービスの質の向上」は図れない。

特に図書館など社会教育機能の拠点である施設については、専門職としての司書をはじめ、機能の充実を図る体制整備が指定管理者制度の利用では十分に行えるはずがないと考えざるを得ない。