ともにはたらき、ともにくらす

2014年7月3日 15時02分 | カテゴリー: まちづくり, 人権, 市民自治, 活動報告, 福祉・医療

多摩若者サポートステーション 相談室

今年度から清瀬市ではモデル事業として生活困窮者自立支援法に基づく必須事業に取り組んでいる。これまで、若者サポートステーションなどの視察を通しても、この法律の趣旨である一人ひとりに寄り添った支援、特に就労の継続を含めた支援を行わなければ、元の状態さもなくば、以前よりもっと生きにくさを感じる状況になることが、わかってきた。そんな中で、継続的な中間的就労の必要性とともに、中間的就労をもっと社会全体に増やしていくことが、インクルーシブな社会を作っていくことにつながるのではないかと考える。そんな中、今回のモデル事業の特に中間的就労のありかたについての学習会に参加した。

社会的企業が取り組む就労支援準備事業から持続性のある中間的就労創出に向けた制度・支援に関する調査研究についての報告があった。現在実施されているモデル事業の段階で、27年度からの本格実施に向けた制度設計に反映させるための提言を目的としている。社会的就労、中間就労の受け皿となる事業体が、安定的かつ持続可能で存在できる共生コミュニティの提案である。

生活困窮者とはだれなのか

生活困窮者自立支援法では、「現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者」としているが、実際には生活保護受給者を含め、対応している。この点については、これまで給付しかおこなわれてこなかったといっていい生活保護制度においては、一歩前進であるといえる。また、この事業により福祉と就労という、これまで全く接点のなかった分野などの新たな行政分野の連携が始まっている。

現場が必要としていることは?

活困窮者自立支援制度では、自立相談支援事業と住宅確保給付金の給付事業のみが必須事業となっている。

自立相談支援事業の出口は、一般就労に次いで、生活保護の受給が多いが、就労準備支援事業、中間的就労による就労訓練、継続的就労としての中間的就労、職業訓練、居場所での活動、ボランティアなどの社会参加とさまざまにつながっている。

ただし、この中で支援者が不足していると感じているのは、継続的就労としての中間的就労の実施機関が8割近くに上り、次いで中間的就労による就労訓練の実施機関となっている。受け皿にインセンティブや、労災保険などの制度がないことが受け皿を増やせない要因である。さらに地域で仕事を作り出していくことも必要だ。

27年度からの本格実施に向けて

すなわち、この制度の本来の趣旨を達成するためには、現在任意事業となっている就労準備支援、就労訓練は必須といえる。また、多様な担い手とそのネットワーク化が必要で、それが今後は地域を作っていくことにつながるはずだ。ただし、自治体に対し、国からの人的、物的、金銭的支援がないことは、就労事業を民間に丸投げし、市場主義と自己責任論で解決しようとしていると考えざるを得ない。さらに、生活困窮者自身が主体者として、自分たちがしたいことをサポートするのがこの法制度の趣旨であることを忘れてはならないが、主体者の意見を反映できる制度にどうしていくのかも、大きな課題である。

継続的就労をつくるためには、生活困窮者自身が仕事おこしをするためのしくみづくりができるかが課題となる。地域の資源を活用し、地域で必要な仕事によって循環型の社会経済システムをつくっていくことが望まれる。

業務分解で一人ひとりにあったしごとを

中間就労の実践として、千葉県の生活クラブ風の村におけるユニバーサル就労の取り組みが紹介された。理由にかかわらず、働きづらい状態の方とともに働くことを目指すというものだ。短時間や週1回など、その方に合わせた多様な働き方をつくり出している。賃金は無償から一般の賃金までとし、全ての方を受け入れることを前提としている。そのためには、就労の場を多数用意する必要があり、受け入れる事業者や団体にもメリットが必要である。それが業務分解であり、一人ひとりにあった業務を提供するために必須の手続きである。業務分解を行うことで、受け入れ側にとっては、仕事の見直し、効率化、標準化ができる。その結果、本来の仕事に専念でき、仕事の質が上がるとともに、新たにできた時間で新たな業務を担うことが可能となる。就労する側にとっては、人と接する仕事や事務作業、力仕事などに分類でき、より本人に合う仕事をすることができる。

今年度のモデル事業を実施している佐倉市では、就労支援が必要なケースでは、相談の段階から就労準備支援、就労訓練事業の実施団体がかかわり進める。ひきこもりなど対人関係に困難を抱える方にとっては、関わる人が変わることで新たなストレスが生じるからだ。ただし、この就労準備支援、就労訓練事業は国の負担ではなく、各自治体の予算で実施するため、実施できる自治体は限られることになる。

一人ひとりに寄り添った支援の筋道を

神奈川のワーカーズ・コレクティブ協会では、NPOとして横浜市を中心に主に若者を対象とした就労の中間支援をおこなってきた。協会に登録された180の事業所のうち、100事業所で267人が職場体験を行い、そのうち58人が継続して就労している。ケースワーカーや就労支援員にワーカーズの説明会を行い、対象者をつなげてもらう。

社会参加には生活習慣の改善から、社会常識、コミュニケーションの取り方など、たくさんのステップが必要であることがわかってきたが、一人ひとりによりそった支援の筋道を提示することが必要だ。ボランティアに近い働き方から、しっかり働ける働き方まで選択肢を提示できることが、様々な困難を抱えながら社会参加を望む方にとって、安心して参加できる働き場となる。

「ともに働き、ともに暮らす」ことのできる場をつくることが求められている。