自立に向けた力を育む ~都立青峰学園~(青梅市)

2014年9月24日 23時12分 | カテゴリー: 人権, 子ども・教育, 活動報告, 福祉・医療, 視察

のんびりカフェ テーブルやメニューも教員と生徒で手作り

 

 

 

様々な場面で見通しを立てられるようにわかりやすく生徒に示している

 

 

 

 

 

 

色分けして表示された校内の案内板にそって入った体育館では、月曜日の朝の全校集会が行われていた。壇上のスクリーンにパワーポイントを使って、わかりやすい式次第が示され、小学部から高等部までの肢体不自由部門の生徒と、知的障害の軽い高等部就業技術科の生徒が集まり、校長先生の話を聴いていた。

この特別支援学校では、軽い知的障害の生徒を就業技術科に受け入れ、1年生から就労に必要な基本的な資質・能力を養い、地域社会の中で自立することをめざしている。清掃や農園芸、物流事務、パンの製造、介護など具体的な作業をしながら、就労の意義を学び、就労に向けた実践的な態度を身につける。それぞれの職業のプロに市民講師として関わってもらう。さらに、就労してすぐに必要な、電卓、英語、漢字、ワープロ、エクセルなどの検定を取得する。また、自立した生活に向けた自炊の訓練も行う。

教員は進路指導にむけ企業やハローワークと連絡を取り、2年次には、各企業から集めた求人票を掲示板に貼り、生徒自ら就職先を選択する。3日間程度の職場体験をする中で出てきた課題を学校で改善し、再度職場体験にチャレンジし、課題をクリアできたという成功体験を積むことで、自信を持つことを主目的としている。社会人として身につけるべき項目をわかりやすく具体的に示し、改善されたのちには、本人が希望する企業へ推薦する。

毎年ほぼ全員が就職しており、就職した後も基本的に3年間、就労が継続できているか、職場を教員が訪問しフォローしている。小規模校だからこそ、できることだ。在学中そして卒業後のこうした教員のフォローは、本人にとってだけでなく、受け入れる企業にとっても安心につながるうえに、そこでの信頼関係はその後の後輩たちの就労にもつながっていく。

また、地域とのかかわりを大切にしている。週3日、校内に併設され、地域に開放された「のんびりカフェ」で、製造したパンの販売、接客、栽培した花を飾り、閉店後の清掃、お店のリーフレットの作成という形で実習を行っている。

卒業後の就職を目指すのであれば中学校までの教育課程において、基礎学力、社会生活力は身につけておく必要があり、入学試験の過去の問題をHPに掲載し、また入学希望者の訪問時には配布し、学校として必要と考える学力、生活力のレベルを示している。中学校までの義務教育課程において、それらを身につけられるかどうかは学校によりかなり差があるというのが実情のようだ。

2425年度では、自己肯定感の醸成をめざし、人権尊重教育推進校として取り組んだ。その結果、自分に自信を持ち、自分の長所をみつけていくことができるようになってきている。最近の子どもたち全般にもいえることだが、特に障害をもつ子どもたちにとって大きな課題だ。

2011年に成立した障害者基本法のもと、社会的障壁を取り除くための障害者差別解消法が2013年に策定されたことを受け、今年、障害者権利条約が批准された。まちの中で、学校で、公共施設で、社会的障壁が放置されているのが現状だ。就業技術科は都内に5校あるものの定員はどちらもいっぱいとのことで、これも卒業後、さまざまな社会的障壁の中でもなんとか生きていく手段を身につけてほしいという、親心ではないか。

障害者に変化を求めるのではなく、社会的障壁がない社会への変化を着実に進める必要がある。