地域のみんなでつくり、支え、育てる~小平市コミュニティタクシー~

2014年9月29日 12時57分 | カテゴリー: まちづくり, 市民自治, 活動報告, 福祉・医療, 総合計画, 視察

 

とても覚えやすい時刻表 ぶるべー号の色が目印

どの自治体にも交通不便地域があり、交通手段をどうするのか、特に高齢化の進展に伴いその課題は切実なものとなってきた。

小平市では、コミュニティバスが市内の主要駅である西武新宿線小平駅と西武多摩湖線一橋学園駅を結んでいる。もちろんこれだけでは不十分であることから、9人から10人乗りと乗れる人数は少ないものの、バスでは運行できない狭い道路での運行が可能で、バスより車両費や燃料費などが低減可能なコミュニティタクシーの活用をすすめている。

 

市は、「地域にあった公共交通を考えることをコミュニティづくりの一環として、市民が主体的に取り組むことを応援する」というスタンスをとっている。市内を4地域に分け、地域ごとに市の公共交通の取り組み状況についての説明会を行い、地域の考えを聴く。具体的な取り組みへと発展させる「コミタクを考える会」を立ち上げる。

その後は市民が主体となり検討をすすめる。その過程では、外出アンケートを実施、「週2~3回の買い物、月1回の通院を徒歩や自転車でしている」ことがわかったが、その出発点や外出先を地図に落とし、その地域の外出傾向をつかむことから始める。

現在すでに3地域で考える会が立ち上がり、そのうち2地域で実証実験運行が開始されている。

 

ただし、実現にあたっては多くの課題がある。

〇運転事業者の存在

バス事業の資格を持っている事業者のみに限られること、利潤の追求でない運行事業を理解していただく必要がある。実証実験運行のみ、タクシー事業者や貸し切りバス事業者も可能。

〇既存のバス事業者やタクシー事業者の了解

税金の赤字補てんにより支えられるコミタク事業は、既存のバス路線を補完し、地域の交通ネットワークを形成するというスタンスに立つ必要がある。そのため、実質的に競合しないことや、不当競争を引き起こすおそれがないような運賃設定が必要。

〇運行可能かどうかという車両制限令への適合

コミュニティタクシーとして一般的に使用されている車両幅1.88mの場合では、相互通行路で最低5.76m、一方通行路で最低3.88mの道路幅が必要である。4m幅の道路など清瀬市内ではまだ結構あり、新規の住宅開発でも5mというところが多いことを考えると、住宅街などは運行できるところが意外と少ないと感じる。

〇停留所

通行の妨げにならないかという警察の審査があり、ぎりぎりの道路幅のところでは、電柱の一部を借りて停留場の表示を張り付けるという形で、対応しているところもあった。また、停留所は、「家の近くにほしいが、自分の家の前は嫌」という迷惑施設でもあるため、周辺住民の理解が必要である。さらに、市民の利便性を考えると、停留所は公道だけでなく、病院や都営住宅の敷地内、地域住民の専用道路にも設ける必要が出てくる。そうした交渉も必要となる。

〇財政効果と持続可能性

一定以上の利用がなければそこにだけ多額の税金を使い続けることについて、利用しない市民への理解は得られない。乗車人数の目標に近い継続的な利用が見込まれることが必要だ。目安は1ルート170名程度ということだが、小平市では、初期費用を除き、市の持ち出しの目安を500万円前後としている。

そのために、地域ごとにどれくらいの利用予定があるのか実証実験運行により、ルートを決定するという方法をとっている。

〇地域で継続して乗り支える

実証実験をしたから、その後の継続運行が保障されているわけではなく、利用が少なければ、実証実験のみで終了となることや、継続運行後も廃止となることもある。

 

当日は視察したメンバーで二手に分かれ、2ルートのコミタクに乗ってみた。私が乗った大沼ルートのコミタクは循環運行で、30分で1周できるようにルートが設定されていた。30分おきという時刻表であればすぐに覚えてもらうことができるというのが、一番の理由のようだ。横向きの座席もある車両だったが、杖を持った方や荷物がある場合には空間が広く乗りやすいと感じた。

料金は一律で、乗るときに「○○で降ります」と運転手さんに伝え、料金を払う。運転手さんはどこで降りる人がいるのかを記入し、停まる。その日は飛ばしてしまった停留所があったようで、お客さんは「さっきのところで降りるはずだったのに。」といいつつも、運転手さんの「あ、すみません。」という返事に、にこやかに「大丈夫、歩けるから。」と次の停留場で降りていった。運転手さんと距離が近いこともあってか、その会話も和やかだった。

利用するのは高齢者ばかりかと思いきや、クリニックなどに定期的に通っていると思われる小学生も利用していた。利用者同士も、顔見知りというわけでもなさそうなのに、特に高齢の方々はお隣どうしで自然に会話をしていた。

運転手さんのすぐ後ろに座ったおばあちゃんはおそらく日常的に利用しているのであろう、「今日はあそこに行ってきたのよ。」というような世間話を運転手さんにしていた。傾聴ボランティアのような役割も、また、このおばあちゃんが乗らなくなったら、気になるだろうから、見守りボランティアのような役割も果たすことになるのではないか。コミタクで新たな地域のつながりが生まれていると感じた。