「私は認知症をどう生きたいかー本人と家族に地域が寄り添う」~No!寝たきりデー2014~その4

 

暮らしの保健室の様子 (株)ケアーズHPより

誰もがふつうに暮らすまち「暮らしの保健室」の実践と効果 

NPO法人白十字在宅ボランティアの会 杉本みぎわさん

 

2011年より厚労省の在宅医療連携拠点事業のモデル事業の助成を受け、(株)ケアーズ白十字訪問看護ステーションを母体として新宿区の戸山ハイツにオープン。医療に関するちょっとした困りごとを気軽に聞ける場所として、介護や医療にかかわる方々の連携をスムーズにするハブ的な役割を担う場所として開設。

イギリスのマザーズセンターを見倣い、がんの治療中でさまざまな悩みを抱える方々の相談にも応じるなど、その方が自分で自分らしい生き方を選んでいただけるように支援する場所でもある。

マザーズセンターとは

患者本人だけでなく、家族や介護者、医療・福祉関係者も利用できる。傾聴を含め、情報提供、心理・社会的サポート、給付金に関するアドバイスも行う。自分自身ががんとともに生きる生き方を選んでいけるようにすることを基本にしている。病院とは異なる明るく、静かで快適で人を受け入れ、他の場所とは違うという印象の建物になっている。 

自分自身で気づくことを大切に

行政の相談窓口は敷居が高く、出向けないでいる高齢者も、気軽にお茶を飲みながら世間話をしているうちに今の生活の困りごとに自分で気づいていく過程を大切にすることで、最終的に本人が納得してサービスにつながるように手助けしたい。

地域のつながりを大切にしつつ、住み慣れた地域で最期まで安心して生活できるようにするためには、地域のマンパワーや社会資源を緩やかにまとめていく場所が必要だ。

戸山ハイツは高齢化率49%、そのうちの半数は独居。新宿区は病院、診療所など充実している。2007年から在宅療養シンポジウムを継続し、区民のみでなく、区内で働くケアマネや病院関係者などが参加、その中の空き店舗オーナーが場所を提供し始まる。

看護職がつなぐ

2011年より多職種連携のための連携会議を看護職がハブとなって進めている。お互いを尊重しながらかかわる場ということを忘れず、顔の見える関係を作っている。病院の医師、クリニックの医師、ケアマネ、ヘルパー、訪問看護師、歯科医師、介護福祉士、薬剤師、病院の社会福祉士、区の社協、クリニックの看護師、看護大の地域看護教員、区福祉課、区高齢者サービス課、病院退院調整看護師、救急担当医師が参加している。

医療を含めた相談支援の場所が町の中にあれば、重度化してからの訪問看護ではなく、予測を持った看護力を発揮することで、穏やかに老化の過程をたどることができる。いざという時のための急性期病院、緩和ケア病棟との連携を図る。

最期まで生ききる人を支える

予防から看取りまで、地域の中でホスピスマインドを持ったケアを充実。その人の人生に敬意を払ってともに歩む姿勢。がんだけでなく、緩和ケアのさらなる普及が必要。そのための相談支援の場が必要。 

254月から261月までに、2167人の利用で、そのうち相談件数は650件。相談内容は医療に関するものが多く、病院内の相談室が機能していないのではないかと感じる。

また、地域包括支援センターも敷居が高いようで、ここからつなぐケースが多い。

現在、全国に暮らしの保健室が広がっている。医療者への教育だけでなく、市民への在宅緩和ケアへの啓発や教育を市民とともに行う必要がある。

 

清瀬市でも先日の市民まつりで「まちの保健室」として、看護大学校、明治薬科大学、日本社会事業大学の市内3大学の先生方が各専門分野の相談に応じてくださった。

一人ひとりがよりよく生ききるために、気軽に立ち寄り、話を聞いてもらえるこうした機能が求められている。

※訂正前の文章では、上記の先生方を「学生さん」と誤って表記しておりました。

 関係者の皆様にご迷惑をおかけしましたことをお詫びいたします。