ワーカーズ・コレクティブがつくる地域福祉

2016年6月4日 01時05分 | カテゴリー: まちづくり, 子ども・教育, 市民自治, 活動報告, 生活者ネット, 福祉・医療, 視察

横浜市で開かれた全国市民政治ネットワークでの福祉の現場ツアーに参加した。生活者ネットワークもこのネットワークにおいて道府県の市民ネットワークとつながり、毎年1回いずれかの地域でともに学び、交流する機会を持っている。

 

今回のテーマである「ワーカーズ」は、生活者である市民が持っている生活技術と経験を活かし合いながら、近隣の誰もが参加できるような協同の働き方だ。ひとりひとりが事業主として出資し、労働する。

さらに、地域のボランティア団体ともつながり、サポートしてもらうことを通して地域づくりも進めている。

 

★大ぜいのたすけあい、ささえあいによる最適な福祉~福祉クラブ生協

きらり港北の前で

きらり港北の前で

神奈川県にある福祉クラブ生協は、住み慣れた地域で人間関係を保ちつつ、自分らしく暮らすためのしくみづくりを神奈川県内18業種・108のワーカーズと地域ごとに行っている。

宅配の共同購入、家事介護や食事、お出かけ介助、子育て支援、成年後見サポート、介護用品の販売・貸与、デイサービス、入居施設サービス、ケアプラン作成、介護保険事業、エアコン掃除、庭木の手入れ、衣服のリフォーム、出張理容などの事業をおこなっている。

 

当日は、1階が福祉事業のワーカーズの共同事務所と保育室、2・3・4階はデイルームと有料老人ホームの複合施設である港北区の「きらり港北」を見学。共同事務所は、一人ひとりをささえるためのワーカーズ間の情報共有と調整の場となっている。有料老人ホームは自己決定を尊重し、それをサポートすることを大切にしている。

 

通常、こうした施設ではケアマネージャーをはじめ、様々なサービスは施設の関係する事業所に依頼することを前提とされがちだが、ここでは外部の事業所にはいってもらうことをあたりまえと考えている。利用者本人の自己決定の尊重というだけでなく、外部の眼がはいることが、ワーカーズのサービス向上にもプラスに働き、また、外部の事業所とのつながりをつくり、こうした施設のあり方を外部の事業所に知ってもらうチャンスにもなると考えるからだ。

 

また、福祉クラブ生協に関わるワーカーズは、募集説明会を地域で定期的に開催し、全員受け入れ、一人ひとりにあった仕事を探す。だれにでも必ず、あった仕事や働き方があるという考えからだ。

こうした多様な働き方を当たり前のこととして実行してきた経緯から、横浜市の就労準備支援事業、就労定着支援事業も受託し、地域の若者が社会参加する準備をするためのゆるやかな働く場にもなっている。

 

 

★ひとりの「困った」や「○○が必要」に寄り添う~ ピッピ・親子サポートネット

木のぬくもりのピッピ保育園

木のぬくもりのピッピ保育園

横浜市青葉区は人口30万人、若い世代が多く、子育て世代が孤立しがち。当日はどんな理由でも預けられる「ピッピ保育園」での休日保育を見学。定員30名の小規模にこだわった認可保育園、地域の相談の場、一時保育の場となっている。相談から一時保育につながり、孤立していた家庭が地域につながる。

 

ピッピ・親子サポートネットでは、地域で必要なものを順次開設し運営してきた。

落ち着いた環境で愛着関係がじっくり作れる、3人の保育ママで9人を保育する0・1歳向けの小規模保育「りとる★ぴっぴ」、学齢期の障がいがある子もない子も一緒に育つ場として学童クラブと放課後デイサービスを併設した「となりの家」、デイサービスと小規模保育と地域のサロンを併設した「わたせハウス」、子育てや介護で困っている家庭に出向きサポートする「ヘルパーステーションみんなのいえ」など、制度を利用できるものは利用して安定した運営費を確保しつつ、真に必要なものを運営することを方針としている。

 

法人はNPOで130名のワーカーズが運営を担っている。子育て中の人の短時間労働や困難を抱えた人の就労など、様々な働き方があることが当たり前だ。

 

人口360万人の横浜市は、市域も広く、それぞれ地域性があるにもかかわらず、市で決定した一律の行政サービスがおこなわれてきた。現場からの制度提案をするとともに、地域で必要なものは地域で作り、実践する。まさに自治する市民である。