生物多様性地域戦略による地域づくり

2016年8月29日 00時30分 | カテゴリー: まちづくり, 市民自治, 活動報告, 環境, 総合計画

「生物多様性あきる野戦略」より

「生物多様性あきる野戦略」より

東京農工大名誉教授で、(公財)日本自然保護協会理事長の亀山章さんからお話を伺った。

亀山さんは65年前、尾瀬に東電がダムを造ろうとしたときに反対運動をし、40年前には自然保護憲章の策定、20年前から屋久島や白神山地、小笠原諸島などの世界自然遺産の登録、現在は辺野古、大浦湾のジュゴンなど自然保護活動に取り組む活動家でもある。

 

★多様性の価値とは・・・

さまざまなものには、それぞれに固有の価値があり、さまざまなものが存在していることに価値がある。自然環境の価値は世界的に認識されている。それは、人間社会の基盤であり、自然環境あっての経済や文化であるからだ。

 

★生物多様性とは・・・

種内の遺伝子の多様性、生態系における種の多様性、景観における森林や河川など生態系の多様性のことを指している。それぞれに種の持続性、生態系の安定性、環境の多様性や持続性という機能を持つ。そして、人類の生活は自然の恵みに支えられている。衣・食・住の供給機能、気候の緩和や洪水防止などの調整機能、文化を育む機能などがある。

 

★生物多様性の状況

人類は生物種の絶滅速度をここ数百年で1,000倍加速させ、何も対策をしなければ50年後には現在の自然地域の10%が消失する。

 

★生物多様性の4つの危機

1.開発、過剰利用、汚染などの人間の活動

2.里山の荒廃、中山間地域の人間活動の縮小

3.外来種などの人間活動によりもたらされる新たな問題

4.地球温暖化

 

★生物多様性地域戦略の必要性

生物多様性の保全は人類の存亡の危機に関わる課題だ。地域の自然的社会的条件に応じ、持続可能な方法で、長期的視点や順応的な方法で生物多様性を保全・利用し、地球温暖化問題との相互関係を認識することが重要だ。

日本では1992年に生物多様性条約を締結し、1995年には生物多様性国家戦略を策定し、これまで5回改定、2008年には生物多様性基本法を制定。2012年度末で、都道県23、政令指定都市11、市区町17で策定、策定中のところも増加している。亀山さんが策定にかかわった「生物多様性あきる野戦略」や「ちよだ生物多様性推進プラン」が紹介された。

 

★地域づくりの視点

地域戦略策定を通じて、住民が人と自然のかかわりを見つめ直し、失われつつある生物多様性の保全を進めながら、自然のしくみを活かした地域づくりを実現する。

そのためには、多様な主体が地域の自然の恵みを「地域の財産」、「歴史的文化財」として再発見し、地域の魅力をいかに持続的に活用していくかという「暮らしと自然の未来像」を描くことが必要だ。清瀬市も策定する予定だが、庁内の分野の垣根を越えた取り組みが求められる。

 

★大都市圏東京における生物多様性への取り組み指標

東京都は、亜高山帯から山地帯、火山島、海洋島という多様な地形、暖帯、亜熱帯の多様な気候、世界自然遺産や山岳宗教の文化遺産をもち、面積の3分の1が自然公園という世界的にも希少な都市だ。

1.各地の里山の保全と大量の地下水が流れ込む里海である東京湾の再生

2.外的な悪影響をなくす(まわりの自然や景観を損なうことないオリンピックの設計を)

3.保全目標種は、オオタカ、キツネ、リス、タヌキ

4.隣接県への働きかけ

 

★市街地東京における生物多様性への取り組み指標

1.ゴルフ場など野生生物の生息地の保護と創出

2.皇居の森を母の森とし、海の森への移植

3.多摩川、江戸川、荒川など緑の面積が大きく、海までつながる緑の回廊の確保

 

★ゴルフ場は野生生物の生息地

建設時には森林伐採や芝生への農薬使用など批判的な見方が多かったが、環境影響評価など動植物の保護が義務付けられ、今ではオオタカをはじめ絶滅危惧種の避難場所となっている。

草地や森林、砂地、池があり、面積が大きく、夜間の人の立ち入りがなく、適度な管理がされていることなど野生生物の生息に適している。

 

今回、初めて「造園学」という植生、生物、土木、建築、文化財、都市計画、自然再生など幅広く学ぶ分野があることを知った。自然環境は、さまざまなものがつながりあい、関係しあって存在しているということだ。