人口減少のまちづくりと交通政策

2016年11月9日 14時26分 | カテゴリー: まちづくり, 人権, 活動報告, 環境, 福祉・医療, 総合計画

交通政策の研究者 秋山哲男さん

交通政策の研究者 秋山哲男さん

交通政策を研究してこられた中央大学研究開発機構教授の秋山哲男さんからお話を伺った。

 

日本における少子高齢化、人口減少と交通

〇少子化問題の深刻さ

・現在1.4の出生率が2030年に2.1に回復したとしても、人口減少が止まり安定するのは2090年という、次世代に響く問題である。

・ベビーブーマー世代は2015年に41歳。これ以下の世代の女性は急激に減少する。

〇超高齢化問題

・2040年には35%という高齢化率は、医療介護ニーズの大幅な増加を意味する。特に多摩地域での医療介護不足問題が顕在化する。

・認知症になっても健康寿命を延ばすために出かけることができる対応が必要。

〇人口減少問題

・地方都市は人口1~2割の減少で地域力は下がる。生産年齢人口の減少により個人消費が減少し、商店街が緩やかに衰退してきた。

・ビジネスとして成り立たないものが全体的に増えてくる、税収が少なくなり財源不足で必要なサービスの提供ができなくなる、生活サービスの担い手が不足する。

→地域交通も今までの民間企業依存型の政策から、生活に密着した交通は行政・市民・民間が協同でカバーする必要がある。

 

日本におけるモビリティー問題

〇路面公共交通の現状

・バス事業者:運転手の給与を切り下げて対応しているが、減少の一途。

〇交通政策基本法

・平成18年以降、地方自治体が計画の主体者として転換を図り始めているが、計画担当者も他の担当者と同様短い期間で異動し、実現が担保されない。

〇公共交通の財源

・交通は儲からないという認識で、フランス、ドイツも運賃収入は30%~40%、残りは公的な補助金など。日本は赤字の場合には補てんという考え方。

〇都市の衰退を防ぐユニバーサルデザイン

・高齢者・障害者の移動手段の確保しやすい環境づくり(欧米にみる移動権の保障)

・その上で買い物、通院のための外出支援

・買い物をする中心市街地の衰退は、地方都市の衰退を加速させる→個々の店舗の活力や営業状態を改善し、中心市街地の衰退を止めることが必要。

 

〇日本の交通の現状

・大都市では公共交通が24%、自動車が35%(一家に1台)、地方都市では7%と54%(一人1台)。公共交通の整備により、CO2排出量も削減される。

〇地域の骨格を創る幹線交通計画

★日本の地方都市

・全ての路線が中心部に集まる。

・多くの路線が集中し、非効率でわかりにくい

・中心部が供給過多となり、郊外は手薄

★フランス ストラスブール

・自動車が走っていた道路に、トラムという路面電車

と並行して自転車道と歩道を整備、トラムの駅にはバス停も。

バス路線の重複は多くて4路線程度。

・乗換をスムーズにし、乗換前提の交通体系。トラムが軸、バスで補完という位置づけが明確。

〇新たな交通のあり方

・地域の空いている車を一元管理し、空いている時間に動かす。日本にある車6100万台のうち、4.8%しか使われていない。デイサービスの介護車両の活用も。

・サービスを必要とする人とサービスを提供できる人を情報でつなげる。

・通学バスに高齢者も一緒に乗るなどの混乗の活用

 

交通政策という分野自体、まだまだ日本ではなじみがない。清瀬市においても、地域公共交通会議が定期的に開催されているが、コミバスの路線や本数を増やすのかなどの個別課題に終始しており、市内全体の交通のあり方について議論されているとは言えない状況だ。交通空白地域があり、福祉運送も十分ではない。さらに最近では、買い物不便地域もでてきている。こうした課題を解決するためにも、移動権の保障とまちづくりとしての交通のあり方を検討していくことが必要だ。