~私たちの主食が危ない!~

2017年12月6日 22時05分 | カテゴリー: まちづくり, 人権, 市民自治, 活動報告, 環境,

市民バイオテクノロジー情報室代表の天笠啓佑氏

今年4月の通常国会で主要農作物種子法(いわゆる種子法)の来年4月廃止が決定された。

種子法は稲を初め、小麦などの種子を都道府県ごとに品質管理し、農家に優良で安価な種子を供給し、国民の食の根幹である主食としての主要農作物が安定して生産されることに国が責任を持つというものだ。

廃止理由としては消費者の中食・外食利用の増加により特化した品種の開発や生産・流通が求められていること、海外輸出戦略として新たなニーズに柔軟かつ素早く対応するためとされている。その意味や影響など市民バイオテクノロジー情報室代表の天笠啓佑氏の学習会で学んだ。

 

★そもそも種子とは

米も小麦も種子:私たちの主食はタネ

次の世代をつくる命の源⇒種子の支配=世代を超えた食料支配

 

★種子の歴史

〇第二次大戦時からの財閥(カーギル、ロックフェラー、フォード)による食料支配

・ヨーロッパ戦線に向けた援助を代行

・高収量品種の開発:トウモロコシ・小麦はメキシコ、コメはフィリピン

高収量→価格暴落→小農家は撤退→大地主が農地を買い増し、さらに大規模化

→中農家も種子の親(F0)から種子(F1)を生産し維持することが困難に→企業から購入

・企業支配により小麦は世界で5品種に→病気により壊滅の危険性→種子バンクの登場

 

〇種子バンクから遺伝子バンクへ

・国際条約による知的財産としての保護

・遺伝子組み換え作物の登場:米国のモンサント社、ビルゲイツ財団による食糧戦略

・バイオテクノロジーの登場で全植物種、細胞ひとつ、収穫物の権利、特許との2重保護

・農薬企業による種子企業の買収

・遺伝子が特許→種子支配の手段に→各国に種子バンク→途上国の遺伝子資源の搾取

◇世界の遺伝子組み換え作物の分布状況(2013年)

大豆79%、トウモロコシ32%、綿70%、ナタネ24%

 

〇生命特許から遺伝子特許へ

・微生物→植物(特定成分の多いトウモロコシ)→動物特許(がんを起きやすくしたマウス)

・遺伝子特許の成立と国際化:知的所有権を支配するものが世界を支配

 

〇米国政府・モンサント社・ビルゲイツ財団による世界の食料支配戦略

・モンサントの種子支配:大豆種子で27%、食料としての大豆80%→次は稲・小麦、野菜へ

・ベンチャー企業(特許)と種子企業(販路)の買収

 

〇新たな種子戦争

・ゲノム編集(遺伝子操作技術)→遺伝子組み換えに代わる、目的とした遺伝子を壊す技術

・ゲノム編集技術と種子戦争:デュポンとモンサントの特許争い

種子企業の再編の加速化によるシェア争い

種子/農薬 バイエル・モンサント 29%/26%、デュポン・ダウケミカル 24%/16%、中国化工集団・シンジェンダ 8%、20%

 

★国内における歴史

・1952年 種子法制定:農家から自治体に新品種開発が移転

・1986年 改正:政府がバイオテクノロジー技術開発を推進、民間に開かれる

・1991年 遺伝子組み換え作物の開発、イネゲノム解析、競馬法改正による資金源確保

 

★種子法廃止による影響

〇企業が知的所有権を取得し、高度化された農産物輸出をする基盤整備

・ゲノム編集技術による高機能イネ、高機能トマト、養殖しやすいマグロ

 

〇多国籍企業に種子市場を明け渡す結果に

・韓国での種子企業買収による伝統的品種喪失の例

・自治体研究者の民間企業移行→多国籍企業による日本企業買収→伝統的品種の喪失危機

 

まとめ:種子はみんなのもの

・多国籍企業の種子支配・食料支配を阻止するために農家と消費者がつながることが大切

・日本では消費者が食べないことで、遺伝子組み換え作物の一般圃場での作付を阻止している

・生物多様性と食の安全を守るため、地域農業を発展させ、食文化の多様性を守り、遺伝子組み換え作物を作らない地域を拡げ、有機農業を拡げる

 

江戸東京野菜などの伝統野菜を守る取り組みが有機農家を中心に始まっています。異なる地域で栽培することで守ることにつなげる種子交換会や、自家採種の農家を守ることなど、世界各地でも同様の取り組みが進んでいるようです。