~こころの病をもつ人の地域生活を支えていくために~

2018年7月1日 23時36分 | カテゴリー: まちづくり, 人権, 市民自治, 活動報告, 福祉・医療

約3か月分の生ごみバケツ1杯と交換される花苗障がいのある人も一緒に働き育てている(戸田市)

こころの病はだれにとっても身近なはず。その生活をゆたかなものにしていくために、どのような支援や支え合いが必要なのか考える学習会に参加しました。

〇精神疾患を理解する(済生会なでしこメンタルクリニック院長 白石弘巳氏)

 

★精神疾患の特徴は医学モデルの経過をとらない

統合失調症の経過ごとの統計

急激な悪化 ほぼない
慢性進行性 5~10%
急性発症軽度欠陥 約5%
慢性発症軽度欠陥 15~25%
波状憎悪慢性 5%程度
波状憎悪軽度欠陥 20~25%
波状憎悪後の治癒 35~40%

波状:悪化したり、良くなったりを繰り返す状態

・統合失調症:必ずしも重くない⇔うつ病:こころの風邪というが、慢性化する人もいる

 

★統合失調症の経過に影響を与えるもの

①環境(家族や周囲の人、社会の対応)

再発率の統計(発症9か月後の再発率)

環 境 対応時間 服薬あり 服薬なし
適 切 12% 15%
不適切 週35時間未満 15% 42%
不適切 週35時間以上 53% 92%

⇒統合失調症にとって、服薬よりも環境が大切

②本人の対処

・病気は生物・心理・社会モデルで説明される

治療法は、環境を整えること⇒気持ちを整えること(+養生)⇒薬物療法の順

・精神疾患発症後の家族に起こること

母親が患者の世話を担う傾向⇒母親の疲弊⇒父親の本人や母親に対する非難⇒兄弟の不満⇒本人との対立⇒家族の 不和、個々人の生活への大きな支障

⇒家族をまるごと支援していくことが大切

 

★日本の精神保健医療福祉の特徴

・世界全体の精神科病床の6分の1を占める32万床

・精神科病院の8割以上が民間

・精神科特例

・家族に負担を強いる制度

・長期入院が多い、地域ケア体制の遅れ

・入院医療は人手不足

 

★これからの精神保健福祉の方向性

・精神科医療全体の専門性の向上、子どもや高齢者などの専門分野の確立による効果的医療

・脳科学や向精神薬の薬効に関するエビデンスに基づく科学的医療

・入院中心から地域生活支援重視型医療への転換

・患者の人権を尊重する医療

・当事者のリカバリーを促進する医療

⇒必要なのは、受ける人の気持ちや失敗したときのカバーを尊重するリスク管理方法

 

★現代のメンタルヘルスの問題⇒種類や内容にこだわらず、全体で考え対応していく必要

・母親のメンタルヘルスと児童虐待

・発達障害児の学習支援

・社会的ひきこもり支援

・世代を超えた自殺予防

・様々な依存症が背景にある問題

・認知症の予防と地域でのケア

・勤労者、支援者の燃え尽き防止

 

★地域包括ケアへの取り組み方

精神疾患は年々増えている。病気だけでなく、生きていくうえで相談できる人や頼れる人(人ぐすり)が誰にでも必要だ。人は多くの人とゆるやかにつながっているとき、自由と幸せを感じる。

「全ての人がまちの一部」を目指す。心のバリアフリー、すなわち、気持ちよく住めるまちを実現させることが大切。