~ヤングケアラーの現状と支援~

2019年1月9日 15時12分 | カテゴリー: まちづくり, 人権, 子ども・教育, 活動報告, 福祉・医療

生活者ネットの仲間と街頭での訴え
ケア役割を尊重しつつ、子ども時代を子どもとして過ごせるように

最近、子どもや若者でケアをしているヤングケアラーの調査がされるようになり、少しずつ実態が見えてきています。日本ケアラー連盟主催での成蹊大学の澁谷智子さんの学習会、大阪府の高校生への調査、イギリスでの調査など紹介します。

 

★ヤングケアラー

慢性的な病気や障がい、精神的問題やアルコール・薬物依存などを抱える家族の世話をしている18歳未満の子どものことで、引き続き若者ケアラーになるケースも多い。

 

★新潟県南魚沼市や神奈川県藤沢市における小中学校の教員アンケート

これまでにかかわった生徒の中で該当するケースがあったかと聴いたところ、いるまたは、いたと答えたのは南魚沼市では65名、藤沢市では508名の存在が示され、割合としては1%台という結果だった。

・ケアをしている相手:兄弟に続いて、母、父

教員を通しての調査のため、親の状況は比較的わかるものの、祖父母の状況はわかりにくいこともあり、こうした結果がでたのではないかと分析されている。兄弟の世話をしているのが多いのは、母が病気のためなど多く、その場合は母のケアもしていることが考えられる。

・家族構成:ひとり親家庭が多く、親が頑張りすぎて体をこわし、精神をやられ、子どもが支えているというケースも見受けられる。

・子どもが担っているケアの内容:家事、兄弟の世話、重いものを持つ、身の回りの世話、感情面のサポートの順に多い。

・アンケートに応えた教員が子どもがケアをしていることに気付いたきっかけ:子ども本人の話、学校を休む、保護者の話、担任からの引継ぎ、家庭訪問の順に多い。

・学校生活への影響:欠席、遅刻、学力や衛生面・栄養面・友達やクラスメートとの関係が思わしくない、部活動ができないなどが多い。欠席は長期化していたり、部活や遊び、テレビを見るという時間がなく話が合わないことが原因で友達がいなかったり、家族が死ぬかもしれないなど差し迫っていることで悩んでいるケースもある。

 

★大阪府内の高校生約5千人を対象に行った実態調査の結果

2016年に大阪歯科大と関西学院大の研究グループによる大阪府内の高校生約5千人を対象に実態調査が行われた。当事者に聞いた初めての調査であり、対象者5000人の5.2%に当たる272人のケアラーが存在していることがわかった。

・ケアの対象者:祖母が129人、祖父が61人、母が55人

・ケアの内容:家事が最も多く、力仕事や外出時の介助、付き添い、感情面のサポートなど幅広いケアを担っている。

・ケアの頻度:毎日が33.5%、週4~5日が11.8%と毎日のようにしている生徒が半数近く、また1日のケア時間は「1時間未満」が最も多かったものの、「2時間以上」が学校がある日で22.4%、学校がない日では38.6%で、「4時間以上」も学校がある日でも14.3%、学校がない日では22.8%に上る。

・ケアの期間: 3年を超えるが100名程度、中には6年以上と答えた生徒もいるなど、小中学生の頃からケアが始まっていたことがわかる。

・ケアをしていることを家族以外の誰かに話したことがあるか:あるが45.2%、ないが48.2%でほぼ半々

話した相手は友人が最も多く、次いで学校の先生で、医療や介護、福祉の専門職とつながっているケースは少ないという結果だった。

また、偏差値ランクの低い高校ほどケアラーの存在割合が高い傾向で、ケアの負担が大きく勉強に集中できないなど、学業面に影響が出ている可能性があると指摘された。

・生徒たちの意見

学校を欠席した時、もし先生が補習プリントをくれたら、それだけで精神的に救われた。

介護を子ども世代も担っていることがあると知ってほしい。

 

★ヤングケアラーが学校に望むこと(イギリスにおける調査)

ケアラーとしての責任が教育や学校生活に影響してくることを認識してほしい、遅刻したときに機械的に罰しないでほしい、お昼休みに立ち寄れる場所や宿題のサポートをしてほしい、宿題をするための時間や手助けがほしい、親の状態を確認するために家に電話させてほしい

何が必要か聞いてほしい、個人的問題を相談できる時間を作ってほしい、授業でヤングケアラーや障がいに関わる情報を扱ってほしい、サポートとなる最新の情報やサポートを受けられる場所の情報がほしい、先生たちがヤングケアラーや障がいに関わる問題について研修を受けてほしい

なお、イギリスでは子どもに関する法律でヤングケアラーのニーズに関するアセスメントを自治体に義務付けており、ヤングケアラーの立場からどのようなサポート体制が必要かを検討することになっている。また、「どんな福祉サービスも子どもの過度なケア役割に頼ってはいけない」とされている。

 

★ケアという役割を尊重しつつ、子どもが子どもとしての日常を過ごせるように

ケアラーであることの自覚がなく、不登校などの大きな問題になってからでないと支援につながりにくいことが多い。ケアに時間を取られ、いよいよがんばれなくなって問題が複雑化してから支援するよりも、家庭でのケア役割や学校生活をどうにか頑張っているうちからその状況に気づき、必要なサポートや声かけを行っていくことが重要ではないか。

最近、小平市の小中学校でも先生へのアンケートが実施されました。身近な子どもがヤングケアラーであることに気づくためにも有効ではないかと思います。