~10の基本ケアでその人らしく~

座面の高さや奥行きが選べる椅子

生活クラブあんしんシステム連合は、生活クラブ生協の活動を母体とする東京、神奈川、千葉の3つの社会福祉法人と生活クラブ共済連により設立され、要介護者を含めた高齢者や地域のあらゆる人々が、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最期まで続けられるよう、福祉事業者が積極的に関わり支援するためのしくみです。

そのしくみの1つとして、今年の3月にオープンした社会福祉法人悠遊の安心ケアセンター・悠遊えごたを見学しました。

1階が小規模多機能居宅介護「小規模多機能ホームえごたの家」と定期巡回・随時対応型訪問介護看護「24時間ホームケアえごた」と訪問介護「訪問サービスえごた」の事務所で、2階・3階が認知症対応型共同生活介護「グループホームえごた」です。生活クラブ10の基本ケアに基づき、地域での生活を続けられるように「支えきる」ことをめざしています。

生活クラブ10の基本ケアとは

1.換気を行う:外の空気を取り入れて部屋の空気を清浄に保つことで、感染症などの病気を予防する

2.床に足をつけて正しい座位をとる:正しい座位(骨盤が立っている姿勢で足の裏に圧をかける)を保つことで覚醒した生活を送る

3.できるだけトイレで用を足す:人間の守るべき尊厳は「トイレで排泄する」ことから始まる

4.あたたかい食事をする:温かくおいしい食事をすることで、ストレスを解消し、免疫力を高める

5.できるだけ普通のお風呂に入る:湯船につかり、のびのびすることでストレス解消と衛生を保つ

6.質の高い認知症ケアを行う:認知症になっても、その人らしさと尊厳を尊重し続ける

7.お出かけを楽しむ:外出することで気分をリフレッシュする

8.やりたいことを見つけ、実現できる手助けをする:自分でできる・夢中になれる状態をつくりだせば、心が動き自然と体も動き出す

9.本人・家族が参加してケアプラン作りをする:自己決定が尊重されたケアプランで、充実した生活づくりをする

10.ターミナルケアをする:本人・家族が望むかたちで、最期の時までを支えきる

日常生活にとって大事なことばかりです。特に排泄は大事なことと考え、トイレには立って前傾姿勢で手をついて体を支えるファンレストテーブルがついています。本人だけでなく、座るときや清拭の際の介助にも助かるそうです。

ファンレストテーブル

2については、利用者一人一人に合う椅子を用意することとし、座面の高さ、奥行き、背もたれの形と角度という点から、数種類用意して合うものを選んでもらっています。テーブルも低めにし、望ましい姿勢での食事ができるようにしています。

5のお風呂は、家庭用で一人ずつ入ります。シャワーチェアの座面を浴槽の高さに合わせ、浴槽の両側のふちをつかめる、自分で入りやすい造りになっています。脱衣所にはできるだけ自分で着脱ができるように、トイレと同様のファンレストテーブルがついていました。

 

◆小規模多機能ホームえごたの家(小規模多機能居宅介護)

「通い」「訪問」「宿泊」の組み合わせで在宅での暮らしを365日支える。介護度や所得に応じた月額定額料金で受けられる。1つの事業者が一体的・連続的なサービス提供により、顔なじみの介護者による支援ができ、利用者の安心につながる。

・訪問サービス:生活援助や身体介護、服薬、安否確認など、短時間の対応も行う

・泊まり:個室を確保し、家族のレスパイトケアや、急用などで不在となる時も利用できる

グループホームえごた(認知症対応型共同生活介護)

食事・排泄・入浴(清拭)・着替えの介助等の日常生活上のケア、日常生活の中での機能訓練・相談・援助等を共同生活する中で介護度や所得に応じた包括料金で受けられる。

家庭的な雰囲気の中で、できる限り自立した生活が送れるようになることを目指し、認知症の方の共同生活を支援するサービスで症状の進行を緩やかにする。

◆24時間ホームケアえごた(定期巡回・随時対応型訪問介護看護)

在宅での生活を支えるために訪問介護員や看護師が訪問でのケアや通信機器を使って様子を確認し、24時間365日支える。

◆訪問サービスえごた(訪問介護)

介護保険内のサービスと、介護保険で行えないサービスは自費で対応

 

地域で、自分らしく暮らし続けたい。さまざまなアンケート調査で多くの人がそう答えています。でも、だれでも一人ではできないことが多くなるのは当たり前のこと。だれかに助けてもらいながら、できるだけ自分自身のことは自分でしたい、それは人としての尊厳、自尊心にも関わるからだと思います。10の基本ケアが、いつでもどこでも当たり前になってほしいと願います。

また、私たちも地域にどんなしくみがあるのか、どんな選択が可能なのか、どんなしくみがあったらいいのか、自分のことだけでなく、家族の準備としても知って、考える必要があると改めて感じました。