第4回公共施設耐震化検討特別委員会(2012.10.24)
今回は、市内にある大林組の研究所に伺い、
1、耐震工法について
2、PFIについて
専門家からお話を聴くことができました。
1、耐震工法について
建物の揺れを抑制する手法は、①免震、②制震、③制振に分類されます。
①免震
分厚いゴムの上に建物を載せて地震の揺れを伝わりにくくする
②制震
筋交いなどを入れ、建物の変形を抑え、地震によるエネルギーを吸収する
③制振
長高層ビルなどの頂部におもりを設置し、揺れと逆方向の力を発生させて建物の揺れを抑える
いずれの手法もさまざまな性能と特徴をもつ工法があり、組み合わせも自在で、求める性能とコストに応じて選択することができます。
耐震補強の手法としては
外付けも中付けも可能で、
外付けの場合は、
・耐震性能を満たすためには足場を組んだり、補強材設置のための基礎も必要となるなど、中付けよりコストがかかる傾向がある
中付けの場合は、
・居ながら工事も可能だが、振動・騒音・粉じんや資材搬入のための安全確保に対しては、夜間・休日の工事で対応することが望ましい
・採光・通風の確保が可能な工法もある
また建物本体の延命化については、
コンクリートはもともと長寿命だが、劣化を防ぐ方法でさらに寿命を延ばすことができ、はりや鉄筋などにさびないメンテナンスをすることで長寿命化できる。
ただし、設備については
経年により居住性、OA対応、省エネなどの点で取替が必要となる。
設備の取替は、建物を壊さないとできないものもあり、コスト的に建替えた方がよい場合もある。
2、PFIについて
大林組では、数多くの公共事業も担っており、PFIの専門部署があるということで、概要をお聞きすることができました。
PFI(プライベート ファイナンス イニシアチブ)とは、
民間資金を活用して公共施設の整備を促進するための法律です。全国的には300を超える施設で、また海外でも採用されており、都内では杉並公会堂も改築とその後の施設運営、売店の運営、維持管理についてPFIが活用されています。
通常の公共施設建設事業の場合、
設計、建設、維持管理をバラバラに入札をかけ、仕様を発注します。
また、それぞれの際に起債を行わなければなりません。
PFIは
これらをまとめてさらに資金調達も含め、1つの会社に性能を発注し、それを満たす仕様はプロに任せることができます。支払いは契約総額を契約期間に応じて分割払いするため、コストの平準化が図れます。民間企業も予算規模が大きく、長年にわたり継続的に仕事が確保できるため、バラバラに発注した場合よりも割安で引き受けることが可能となります。
この割安感があって初めて、PFIを取り入れるかどうか検討することになります。
今回の委員会では、耐震工法について、さまざまな検討の余地がある事、PFIというプロに任せつつ、財政負担の平準化を図る手法があることなどを中心に、専門家から大変わかりやすい説明を受ける貴重な機会となりまし
た。
今回の専門家の貴重なアドバイスも参考にし
、ひとつひとつの論点をさまざまな角度から検討し、何を優先すべきか決め、しっかりと示していくことが必要です。