社会教育の拠点、図書館のあり方
特徴のある図書館を数か所視察し、図書館の在り方について、また、指定管理者制度について考えるよい機会となった。小郡市立図書館で学んだ指定管理者制度の課題については別途報告したい。
●浦安市立図書館(千葉県)
・直営(司書を専門職として正規採用:全国的に少ない)
・調査回答コーナーを設置、ビジネス関係や議員の政策調査にも対応
・一人当たり年間貸出数14冊(全国1位、全国平均5冊、清瀬市7冊)
・資料購入予算年1億円(全国1位、清瀬市2千万円)
・市内どこから歩いても10分以内に図書館がある
・市内各駅に7時~19時開所の予約した本の受け取りサービスコーナー設置
・市内の明海大学の図書館の資料も借りることが可能
●小郡市立図書館(福岡県):図書館づくりはまちづくり
・直営(ただし、公社による指定管理から公社の廃止に伴い直営に戻した)
・本を介した家族のコミュニケーションを目的に「家読(うちどく)」を推進
・教材として使用する学校教員の要望に応えるために専門職員を配置
・教科書に掲載されている本はすべて用意
●伊万里市民図書館(佐賀県):成長と成熟、自己実現を支える教育施設
・直営
・全国的にも珍しい、市立だが市民図書館という名称
・図書館を作ってほしいという市民要望で建設が決定され、設計に市民もかかわった
・図書館に精通した建築家が設計、市担当部署と欧州の図書館を視察し、参考にした
・建築家は市民がより理解しやすいように、外部模型にとどまらず内部模型も製作。さらに、建築途中の見学会を開催。のぼり窯に見立てた読み聞かせ部屋も
・落成式には大勢の市民が参加。その後も毎年、図書館の誕生日として、記念イベントを開催
・図書館のビジネス支援を利用して市民が起業
●武雄市図書館(佐賀県)
・(株)TSUTAYAによる指定管理
・一角に外資系コーヒーチェーンのスターバックスが入り館内でコーヒーを飲みながら本を読むことができる。
・開架図書が多い(ただし、はしごを使わないととれないところにも配置されている)
・おしゃれなスポットとして注目され、全国からの視察もあり、来館者が大幅に増加し、地域の活性化に役立っている
・来館者に比べ、貸出数は伸びていない
清瀬市立の図書館は直営で、「読書の清瀬」と銘打ち、貸出数は全国平均を上回り、図書館数も蔵書数も一定程度充実した、全国的に見れば平均水準を越えている。また、ここ数年で学校図書館は司書の配置やシステム、蔵書数もかなり充実が図られた。
ただし、図書館の果たすべき本質的な機能である調査回答や、教員が教材として使用したい図書を提供するという学校支援機能をはじめ、市民に必要とされる図書館になっているだろうか。特に、公民館がない当市にとって、「市民の自己実現を支える社会教育施設」として、図書館の果たす役割は大きいはずだ。