~住民自治の根幹としての議会~
清瀬市議会も議会改革に取り組んできているが、前進しているとは言い難い状況だ。議会改革をテーマに地方制度調査会委員でもある山梨学院大学教授の江藤俊昭氏の講演を聴いた。
●地方政治における負の連鎖と正の連鎖の可能性
地方政治は、少子高齢化や人口減少に加え、財政危機による選択と集中が必要にもかかわらず、政治不信が蔓延しているという状況におかれている。
・負の連鎖
議会は解決困難な課題に直面し、責任はますます重くなる。閉鎖的で、議論もなく追認機関化している議会では対応できない。
住民は、身近な課題を地方議会や首長にぶつける。従来の議会運営では、それに応えられない。そもそも、議会運営は見えない中、課題に応えられない議会ならば、その設置の意義が失われる。議員定数や報酬の削減要求に結び付く。
新たな課題を追求するための時間と労力の負担増にもかかわらず、コスト削減の高まり、やりがいの欠如、立候補者の少なさ、高齢者や男性という議員の属性の偏り、新たな課題解決が困難になり政治不信が広がるという悪循環に陥る。
・正の連鎖の可能性
議決責任を自覚し、新たな課題の解決に果敢に挑戦するために、新たな議会を創り出す。そのための条件(議員定数・報酬等)を整備する必要を住民とともに議論する。
住民は議会の見える化の推進、住民との意見交換など住民と歩む機会によって、住民の福祉向上のために活動する議会・議員を知る。問題はありながらも、議会が住民に寄り添おうということを実感する。
新たな課題を追求する議決責任を自覚し、それを行使するための時間と労力の負担増、それに対応するコストの維持・向上、不信の解消、やりがいの向上につながる可能性がある。
●正の連鎖を可能にするために
・追認するだけの議会から、討議重視、首長(執行機関)と切磋琢磨する議会へ
自治体の法律である条例や予算、決算の決定など、議会にはとんでもない権限が与えられている。
それは、多様性を反映した住民代表機関であり、〇か×かではなく、討議により意見が変わる可能性がある調整と統合を行う議事機関であるからだ。
議決責任の再確認、説明責任の確認をするとともに、議員間討議により問題をえぐり出し、第3の道の発見、調査研究や住民との意見交換により独善性を排除していく必要。
●国政とは異なる地方政治
・議会内に与党も野党もない、二元代表制(首長vs議会)
・直接民主主義の導入:議会報告会、意見交換会、審議会メンバーとの交流、公聴会・参考人制度の活用
・議会の存在意義は討議と決定:常任委員会や特別委員会において議会の意思をまとめ上げる議員同士の討議を行う
●議員定数・報酬を地域民主主義の問題としてとらえる
・議会改革は地域民主主義の実現のためであり、効率性重視の行政改革とは異なる。
・議員定数は、議会が多様な意見を吸収し、さまざまな視点から議論できるうえに、首長(執行機関)と対等に渡り合える人数
・議員報酬は将来、担う人の条件でもあり、議員活動を明確にすべき(会議出席が議員活動と考えるならば、議会事務局機能の強化、住民と議員がともに地域課題について調査研究するなど住民による政策提言・監視の支援を制度化する必要)
清瀬市議会においては、正の連鎖を可能にするための“自覚”がまずは必要かもしれない。
これが実は、一番難しいのだが。