コロナ禍の子どもへの影響
コロナ禍によりこれまで非日常だったことが日常となりました。その影響は大人にはもちろんのこと、子どもには大変大きいことがさまざまな機関のアンケートから報告されています。
休校や親の働き方の変化が子どもにどのような影響を与えたのか、現在も与えているのか、東京都立大学子ども・若者貧困研究センターによる大田区の実態調査などを分析した報告を紹介します。
◆休校による影響
2020年3月~5月の全国一斉休校:99%の学校が休校に
休校中は紙教材による宿題が9割、小中学校のオンライン授業は1割以下
9割以上の学校で再開後土曜日の補習の活用はなし→長期休業や行事の縮小:楽しみがなくなった
2021年7月時点では小学校84%、中学校91%でタブレット等を利用開始
◆学校閉鎖による影響(海外における調査)
OECD加盟国の中で日本の学校閉鎖日の割合は低い
一斉休校は感染症を抑えるのには有効だが、子どもへの影響が大きい
学力低下、メンタルへの悪影響(多動、不注意など)
◆学校閉鎖による日本の子どもへの影響
学校閉鎖を長期間経験した子どもほど勉強時間が短い
同じ期間でも部分休校に比べ全面休校の子どもの方がメンタルの問題を抱えやすい
自死:第2波の期間中例年の1.5倍に 学校閉鎖中より再開後に増加
運動:部活動やスポーツクラブも制限 ほとんど運動しない中学生が3割→体力の低下に拍車
スマホなどを見る時間の増加もあり、コロナ禍でさらに運動不足に
肥満:2020年が突出、特に小学生全体と中学生男子
◆感染拡大とそれに伴う休校による親と子への影響
保護者の経済的影響:失職、転職、収入減、労働時間の減少、勤務形態の変化
低所得層、ひとり親世帯に偏った
子どもへの影響:保護者と過ごす時間の増加、親子関係の改善
保護者のストレス増加、親子関係の悪化、虐待等の増加
子どもが1人でいる時間の増加、子どもの自由時間の増加、スマホ等の視聴時間の増加、勉強時間の減少
友だちと会うことができない
体力低下、学力低下、生活習慣の乱れ、精神的不安定
休校中に親が働き方を変えられなかった子どもにも影響
今後、不登校、いじめ、学力低下に影響ある可能性
休校後も親の働き方は変化しており、子どもへの影響を精神面からフォローする必要あり
◆コロナ休校中における子どもへの不適切な養育
休校中の変化:希望しない労働時間の減少(母親9.4%、父親6.7%)、世帯収入の減少35%、家計支出の増加75%
→子どもに手を上げたり、きつくしかったりという不適切な養育の増加
家庭内の生活の変化→平常時以上に保護者に不安や心理的ストレス→不適切な養育として表出
◆外国にルーツをもつ子どもへの影響
コロナ禍で外国籍の父母は就労への影響をより強く受けた
→収入減少のみならず、望まない労働時間の減少、望まないダブルワーク
休校中、子どもと一緒に過ごす時間は増えず、子どもが多くの時間を家で一人だけで過ごしてい た→孤独やいらだちを覚えた子は外国につながりを持つ子どもにより多かった
親が勉強を教えることができない場合も少なくない
親と第一言語が異なる可能性もある
日本に頼れる親族が少ない/いないことも多い→子どもや世帯を孤立させないような対応が必要
未知の感染症への不安に始まったコロナ禍は、大人の働き方や家計に大きな変化をもたらしました。大人の不安や変化は、休校により逃げ場のなくなった子どもに大きな影響を与えたことがこの報告から明らかになったと受け止めます。特に、そのしわ寄せは社会的に弱い立場の大人や子どもに大きかったことも裏付けられました。社会全体の所得の再分配や、地域におけるつながりなど、日常の課題を解決していく必要性を強く感じます。
清瀬市では2020年の休校明け、給食開始までレトルト食品を配布、昨年は運動会や修学旅行など感染対策を万全にできるだけ実施しました。今年の1月末からは3週間、全小中学校でオンライン授業、希望者は登校し給食をとりました。試行錯誤のこの経験を今後に活かしてほしいと考えます。
また、子ども食堂でのお弁当の宅配など「できることをやっていこう」という地域の力も発揮されています。これからもそんな地域であり続けてほしいと思います。