今、注目のペロブスカイト太陽電池

守っていきたいラムサール条約の湿地に指定されている葛西海浜公園
日本は食料だけでなく、エネルギー自給率も上げていかなければいけない状況にあると説く、ペロブスカイト太陽電池の発明者、桐蔭横浜大学特任教授 宮坂力さんの講演を紹介します。
◇エネルギー自給率が15%に満たない
・今後、エネルギーの調達が困難になる可能性⇒省エネと創エネの促進
・石油の備蓄量:国5ヶ月分、民間3ヶ月分しかない
・再エネの生産割合:2023年18.2%(太陽光11.2%風力1.0%地熱0.3%バイオマス5.7%)
◇太陽電池の種類と性質
・結晶シリコン:エネルギー変換効率26.1%、不透明
・薄膜シリコン:エネルギー変換効率20%、不透明
・CIGS:エネルギー変換効率23.4%、不透明
・CdTe:エネルギー変換効率22.1%、不透明
・有機系
色素増感型:セルエネルギー変換効率14%、透明
有機薄膜型:セルエネルギー変換効率19%、透明
ペロブスカイト:エネルギー変換効率27%、透明
・タンデム型(シリコンにペロブスカイトを重ねる):エネルギー変換効率34.6%
*太陽光発電は、パネル1㎡あたり1000W エネルギー変換効率20%の場合、パネル1㎡あたり200W発電
*透明であると光を通すため、窓ガラスにも貼付けられる
◇ペロブスカイトとは
・金属の酸化物で結晶の形の名称
・コンデンサ、インクジェットプリンターのヘッド、リニアモーターカーなどに使用
・日本が世界の29%の産出国であるヨウ素(地下水に含まれる)を利用可能
◇環境負荷が決まるライフサイクルアセスメント(製造、使用、廃棄の過程でのCO2の排出量)
・ペロブスカイトはシリコンに比べ製造、廃棄の過程で小さい
◇ペロブスカイト太陽電池の生産コスト
・中国製は重いガラス型が主流:現在の生産コストはシリコン太陽電池の5倍
・日本製はプラスチック型が主流:現在の生産コストはシリコン太陽電池の2倍
◇液体を塗って作るペロブスカイト薄膜の種類
・回転塗布:回転させながら均一に塗る
・バーコード:ワイヤーを一定間隔で巻き付けてその上から液体を塗りワイヤーをはずす
・インクジェット印刷:微細な粒子を吹き付ける
◇発電性能を上げる天然分子や医薬品
・ヘパリン、アスパラギン酸、クレアチン、タウリン、カプサイシン、ビタミン、ノロウイ
ルス、ドーパミン、セロトニン、アルテミシニン(抗マラリヤ薬)など
◇ペロブスカイト太陽電池の生産にあたっての日本の強み
・塗布加工(印刷)技術
・生産用ロボット技術
・生産原料(ヨウ素)の調達
・発電・蓄電・デザインの複雑な設計技術
◇ペロブスカイト太陽電池の国際取引にあたっての日本でしかできない高機能、高品質
・ペロブスカイト本体に関連する技術:大面積塗布機、電極基板(ガラス、フィルム)
・周辺技術:防水技術、保護制御装置、蓄電池
◇ペロブスカイト太陽電池の活用例
・ビルの外壁に貼付け
・住宅用窓ガラス・バルコニーなど
◇産業化の課題
・耐久性の向上(屋外で15 年以上)
・ペロブスカイト以外の基板・部材の低コスト化
・年間100メガワットの生産設備による量産
・生産工程での歩留まりの改善
これまでの太陽電池に比べ軽いため、安価になれば屋根だけでなくいろいろなところに使う人が増えそうです。国産化していくことが望まれます。
地域に蓄電センターを設置して、地産地消を進めるしくみも紹介されました。