PFAS(有機フッ素化合物)汚染にどう対処するか ~環境と人体を蝕む「永遠の化学物質」の規制に向けて~

市内を流れる柳瀬川の水質調査に参加

多摩地域でもいくつかの自治体で水道水のPFAS汚染が問題となっています。ダイオキシン問題の時から化学物質問題に取り組んでいるNPOダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議代表理事の弁護士中下裕子さんの講演(清瀬市登録消費者団体連絡会主催)を紹介します。

◇PFASとは
・有機フッ素化合物の総称で1万種類(PFOS/PFOAなど)
・炭素とフッ素の結合は極めて強力⇒環境中で分解しにくい⇒「永遠の化学物質」
・高蓄積性⇒人や野生動物の体内に蓄積(北極のアザラシや北極グマからも検出)
⇒地球規模の汚染⇒第2のダイオキシン問題
・水に溶けやすい性質のものも⇒水道水・地下水汚染
・熱や紫外線に強く、水も油もはじく性質のものも⇒多様な用途に使用

◇深刻な日本の汚染地域
・沖縄県沖縄市ダクシャク川/宜野湾市チュナガー湧水/中頭郡シリガー湧水 1000ng/L超
・大阪府摂津市 地下水1000ng/L超
・東京都立川市/府中市/調布市 地下水300ng/L超、PFOS、PFHxS(PFOSの代替物質)
・岡山県吉備中央町 PF0Aを高濃度に吸着した活性炭に起因する水汚染
住民の血液検査の結果平均171ng/ml(日本人の平均10ng/ml)

◇世界の汚染地域
・米国デュポンの工場周辺PFOAによる飲料水汚染
2004年和解成立、和解金の中にPFOA健康調査費用500万ドル⇒妊娠高血圧症、精巣がん、腎細胞がん、甲状腺疾患、潰瘍性大腸炎、高コレステロール症との関連認められる
・イタリアのPFASを生産する化学工場による飲料水汚染
2013年発覚、被害者12万人以上、浄化対策実施、20の水処理施設に活性炭フィルター設置、維持費年間100万ユーロ⇒PFAS量は減少したが、ゼロにはなっていない

◇PFASを避けるために
・フッ素樹脂加工フライパンは避ける/ハンバーガーの包み紙など食品容器包装も/浄水器は性能、交換時期に注意/皮膚から吸収される、ファンデーションに配合、○○フルオロ/防水スプレー/防汚処理された家具カーペット・カーテンに注意

◇PFASの規制
・ストックホルム条約:PFOS、PFOA、PFHxSが規制対象物質に指定
⇒製造・使用・輸出入禁止⇒1万種もあるPFASに個別規制では対処できない
・EUがPFASすべての製造・使用禁止の提案⇒5700件の意見(34%が日本からの反対意見)
・米国:PFASの戦略的ロードマップ策定(2021年)

◇日本のPFAS規制の遅れ
・PFOS、PFOA、PFHxSが特定化学物質⇒製造・使用・輸出入禁止
・日本の一日摂取量基準値:20ng(ナノグラム)/Kg(体重)⇒水道水基準値50ng/L
(米国の一日摂取量基準値:0.03ng/Kg⇒水道水基準値4ng/L)

◇ばく露低減策
・在庫品の使用禁止、廃棄物の適性管理、年限を定め適正処理を推進する法律の制定
⇒PFAS廃棄物特別措置法の制定を
・PFASすべての製造・使用の段階的廃止/飲用井戸、専用水道の汚染対策の実施(管理目標値の適用)/食品・日用品に体する規制(基準値の設定)

◇汚染地域住民の健康管理のあり方
・自治体と医師・専門家および住民が参加する健康調査委員会を設置し、調査の計画・実施・調査結果のプロセスを個人情報に配慮しつつ公表すべき
・血中濃度の目安を設定し、関連疾患の予防や早期発見および対処をすべき

◇汚染原因の究明と浄化対策
・地元自治体と国が協力し、汚染源の究明をし、浄化対策を
・汚染源を放置していると土壌汚染や農作物への汚染を引き起こす可能性

中下さんが代表理事を務めるNPOダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議は1998年に設立。全国の158人の弁護士がかかわり、科学分野の学識経験者の協力でこれまでダイオキシンやPCBの特別措置法の制定に動いてきたそうです。
すでに日々の生活にこれほど浸透しているのかと思うPFASですが、どんなに便利であっても人間だけでなく生物と共存できないということでした。