地域と育む「優しい間」と市民性

地域の子どもの居場所「そだちのシェアステーション・つぼみ」マンガもたくさんある本棚

「私たち一人ひとりが優しい間をつむぐ市民性を発揮していくことで、子どもの心の傷が身近な関係性の中でケアされ、子どもの孤立は解消されていく」。こうした考えをベースに活動するNPO法人PIECES(ピーシーズ)の理事でソーシャルワーカー斎典道(さいよしみち)さんの講演を紹介します。デンマークでの生活が、市民性の大切さに気づくきっかけだったようです。

 

◇子どもが子どもでいられる社会を

・「ねえ、きいて」「実はさ」を受け止められるように

・一市民として専門家として関わるのは一部分

 

◇子どもの頃のちょっとした痛みの支えが必要!でも現状は・・・

・孤立=頼りたいけど頼れない

〈内閣府令和3年版子ども・若者白書〉

どこにも相談できる人がいない・・・21%

どこにも助けてくれる人がいない・・11%

どこにも居場所がない・・・・・・・5%

支援機関を利用したくない・・・・・69%

・放っておいてほしいという子も

・孤独を感じる子ども 3割(海外では1割)

 

◇人に頼ることは実は主体的=援助希求しないことは最大の自傷行為

・現状を問題と認識

・相談したい相手が浮かぶ

・実際相談しに行く

◇信頼感がもてない

・大切にされる経験がない

・相談窓口、相談機関、専門職の学校配置

・身近な気づきの目が必要:支援者を頼りたいと思う子ばかりではない

・スクールソーシャルワーカーはあっち側の人というのが子どもの視点

 

◇居場所づくり:関わりの質を見直す機会が限定的

・支援化しすぎてしまう⇒勝手に大人がつながる(子どもの気持ちは?)

・市民性の発揮と優しい間⇔サービスの提供

 

◇デンマークでは

・制度やサービスの充実だけではない

・市民性と人権感覚

 

◇市民性のありよう

・その人なりのあり方を大事にしながら関わり合おうとする姿勢

・無理せず、自然と、役割や立場を超えて

 

◇子どもの周りに生まれる優しい間

・市民による関わり市民性の醸成により少しずつ自分の手元から

・子どもが本当に求めていることは何かと自分にとって心地よいあり方の調和するところ

・私たちは子どもにとっての大切な存在ではあるが、ただ1つの資源でしかない

・私のことを全部わかっていると思わないで

 

◇市民として担うのは支援より関わり

・日々の生活の中でつながりを持つ

・みつめ、ほほえみ、話しかける

・つながりの糸は垂らしておくとちょうどよい

・生活動線の中で子どもとつながるところを作る(コンビニのイートインスペース/駄菓子屋)

 

市民性の発揮の中で大切にしたいこと

・心でこたえる

・1人の人として無理しない

・ともにいる(一方的ではない)

・少しずつみんなで作る

・市民性と専門性は補完的

 

なんだか心がほっこりする講演でした。子どもの頃、家で何かあると転がり込んだ私に何も聴かずにおいしいおやつを出してくれた隣のおばちゃんを思い出しました。