令和の日本型学校教育とは

子どもの育ちを支える居場所(キートスHPより)

今や全国で不登校児童生徒は35万人。教員の長時間労働や不足、特別支援教育のあり方など、多くの課題があると感じます。これからの学校教育はどのように変わっていこうとしているのか。令和3年1月に中央教育審議会から公表された答申について清瀬市教育委員会指導課長の大島伸二さんに解説していただきました。

 

◇これまでの日本型学校教育の成果

・学校が学習指導だけでなく、生徒指導の面でも大きな役割を担い、児童生徒の状況を総合的に把握して指導を行うことで、知・徳・体を一体で育むことで諸外国から高い評価

 

◇これまでの日本型学校教育の課題

・本来であれば家庭や地域でなすべきことまで学校に委ねられることとなり、学校の業務範囲が大きく負担が大きい、教員の長時間勤務、教員採用倍率の低下、教員不足の深刻化

 

◇背景の変化

・子どもたちの多様化:特別支援教育を受ける児童生徒や外国人・不登校児童生徒の増加

 

◇令和の日本型学校教育とは・・・

・「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に充実し、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善につなげる

 

◇「主体的な学び」とは・・・

・学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら、見通しをもって粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげる

 

◇「対話的な学び」とは・・・

・子ども同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を手がかりに考えること等を通じ、自己の考えを広げ深める

 

◇「深い学び」とは・・・

・習得・活用・探究という学びの過程の中で、各教科等の特質に応じた見方・考え方を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えたり、思いや考えを元に創造したりする

 

◇「個別最適な学び」とは・・・

  • 指導の個別化:支援が必要な子どもに重点的な指導を行う、一人一人の特性や学習進度、学習到達度等に応じて、指導方法・教材や学習時間等の柔軟な提供・設定を行うなど(例:放課後補習教室、デジタルドリル)
  • 学習の個性化:子どもの興味・関心等に応じ、一人一人に応じた学習活動や学習課題に取り組む機会を提供する

 

◇ 「協働的な学び」とは・・・

・「孤立した学び」に陥らないよう、探究的な学習や体験活動等を通じ子ども同士あるいは多様な他者と協働しながら他者を価値ある存在として尊重し、様々な社会的な変化を乗り越え持続可能な社会の創り手となることができるよう必要な資質・能力を育成する

・集団の中で個が埋没してしまうことのないよう、一人一人のよい点や可能性を生かすことで異なる考え方が組み合わさり、よりよい学びを生み出す

 

なかなか具体的にイメージすることが難しいことも多いと感じますが、学校が変わることで安心して通える場所になってほしいと願います。そのためにも、学校や教育についての関心を一市民として持ち続けることや子どもの育ちを支える視点で考えていくことも大事なことと考えます。