地域で自分らしく 精神保健医療福祉 ACT(Assertive Community Treatment)

2013年2月2日 01時29分 | カテゴリー: 人権, 活動報告, 福祉・医療, 視察

虹の家の前で、生活者ネットワークの仲間たちと

ACTは包括型地域生活支援プログラムで、「訪問中心の多職種チームによる、24時間365日サポート」、「重症の精神障がいをもった人々が対象」だ。

「地域生活中心の精神保健医療福祉へ」いう方向性が厚労省の施策の中でも謳われていながら、地域社会に出向いて診療や福祉に取り組む専門職は少ないのが現状だ。

ACTのAssertiveとは、肯定して受け入れるという意味で、支援者は利用者の希望に基づいたプランを一緒に作り、そのプランに沿ったサービスを提供している。

ACTの生い立ち

ACTは、1960年代、アメリカから発展し、標準的なケアマネジメントよりも「入院期間の短縮」「地域生活の安定」「利用者の方の満足度」について明らかな効果が多くの国で報告されている。日本では現在12か所で取り組まれている(東京にはない)。 

ACTのサービス

重い症状や障がいのために、外来受診や買い物などの外出、家族との会話などに困難を感じる場合がある。ACTのスタックが訪問し、徐々に信頼関係を作る。再発の場合への対処や、一人暮らしや就職など、利用者の方が希望する生活を実現できるようにオーダーメイドのサービスを提供。

看護師、作業療法士、精神保健福祉士、就労支援の専門家、医師、精神疾患経験者などの多くにスタッフによってチームとしてサービスを行う。サービスの質を確保するため、10名程度のチームに100人を利用者の上限としている。

ACTが大事にしていること

疾患を抱えながらも希望を持って生きる、自分の生活について判断し、だれもが決定する権利と能力を持っている、入院は緊急避難であり、地域の中で自分らしく生活することを応援する。 

今回訪問した「ぴあクリニック」は、訪問看護ステーション「ぽっけ」とともにこのACTのチームの1つとして活動しています。静岡県浜松市で重度の精神障がいを抱えた方に訪問・外来診療、訪問支援、日中活動スペースを提供しています。

重度の方ほど、なかなか外来に行くことができません。ご家族が診察に連れて行きたくても、家を出ることすらできない方もいます。特に入退院を繰り返した方や強制的に入院させられた方は、病院にだけは行きたくないという方もいます。

外来診療ができない方には医師が訪問診療を行います。症状は千差万別なので、患者さんによって治療方針もさまざまです。

訪問支援は、精神保健福祉士、臨床心理士が中心となり、必要に応じて看護師や作業療法士が、信頼関係を築くべく何度断られても根気よく訪問します。患者さんの少しでも好きな、興味のあることを探り、それをきっかけに関係性を創っていきます。話ができるまで、数か月かかることも多いそうです。専門家のチームであるとともに、それぞれ個性をもつ人間としても相性があるため、治療開始時は何人ものスタッフが訪問し、より相性のよいスタッフをみつけます。

その後は、数人でシフトを組み定期的に訪問を行い、根気よく働きかけていきます。外に出られるようであれば、外来診療にも同行します。さらに回復してきたら、患者さんの行ってみたいところへ同行します。チームで支援を行っているので、それぞれの訪問の際に気づいたことを報告し合い、患者さんが興味を持ってくれそうなことを一緒に考えます。

朝のミーティングや訪問支援を拝見し、スタッフ一人一人が患者さんのことを常に考えていることが伝わってきました。

日中活動スペースは、「ぴあクリニック」に併設された「虹の家」です。ここには地域の方や元患者さん、外出ができるようになった患者さんが集まり、お茶をいただきながらくつろいだり、ゲームや手芸、体操をしたりします。精神障がいを抱えた方も安心して行け、くつろげる居場所であるとともに、地域の方とのつながりを持つための訓練の場にもなっています。

「ぴあクリニック」と「ぽっけ」は活動を公開することで、自らの支援を常に見直そうとしています。そして、精神科や精神障がいへの理解を地域に広げようとしています。

精神障がいの患者さんを本当に救うとは、何か、これまでの人権を侵害することも許されている日本の精神科の治療の在り方に大きな疑問をもつ視察ともなりました。

病院という感じのしない外観