自然エネルギー&市民電力 ドイツ・デンマーク視察(ドイツ編その4)

手工業会議所

ドイツの手工業会議所は、商工会議所とともにその地域の事業者の利益を代表し、活動する機能を持っている。また、これらの会議所は、連合組織としての一般的な機能のほか、自治体への働きかけや商標許可申請、技術や知識の認定基準(マイスター)を決め、そのための教育、試験をおこない、後継者育成も担っている。

 日本ではまだ珍しいエネルギー手法も

ここには、職人の卵や職人が技術を学び、一般市民も利用できる省エネルギーと自然エネルギーをテーマにしたショールームがある。断熱材、地熱ヒートポンプ、太陽熱温水機、太陽光パネル、床冷暖房など、日本ではまだ聞いたことのない方式のものもあった。

ドイツの家は、これまで厚さ30センチほどの2枚のレンガの壁の間に空気層を作る工法が多かったということだ。現在新築時には、省エネ住宅の性能基準を満たすことが義務付けられ、これまで空気層だったところに断熱材を入れる工法が標準になっているということだった。断熱材自体は日本で標準的に流通しているものと同じ(セルロースファイバーやロックウールなど)だったが、30センチ厚のレンガの間をさらに断熱材で満たすという工法は、かなり効果があるだろう。新築でなくても壁の隙間に断熱材を注入する工法も進められている。また、壁だけでなく、窓も、ペアガラスではなく、日本でも最近使われ始めたトリプルガラスが新築時の標準仕様ということだった。

敷地内には100Mの深さの地熱ヒートポンプがあり、この建物全体の冷暖房に使われていた。日本におけるこうした地熱利用はまだ少数ではないだろうか。設備のコストはかなりかかるが、大きな建物であれば冷暖房のランニングコストをかなり削減できるはずだ。

太陽熱温水器は、太陽光パネルよりも高効率の自然エネルギーとして、ドイツ国内でもかなり利用されているということだった。屋根などの断熱材の上に水をため、太陽で温め、温まったものを地下に貯めて暖房やお湯として使用するということだった。

太陽光パネルは、太陽電池は国内生産し、それを組み立てたパネルは中国製が普及しているとのことだった。価格は日本の2/3くらい。

床冷暖房は、床下の配管内の液体が数種類あり、暖房だけでなく、冷房としても利用されている。

手工業会議所はドイツ国内に10か所あり、中小会社の1万5千人の職人が登録し、消費者と企業をつなげる役割も担っている。エネルギーは、市民が参加して選ぶことが必要であるとドイツでは考えられており、だれでも自由に見学できるようになっている。

自然エネルギーを普及させるための断熱という省エネルギーの取り組み、環境条件、コストなど合理的な自然エネルギーを選択するための研究や実際に施工する職人の技術の向上など、実践的な取り組みを確認することができた。

ストーブらしからぬデザインのペレットストーブ

熱を逃がさないために水の層の下に断熱材をはった太陽熱の装置