~清瀬市における男女平等推進の現状~
清瀬市では、2000年に「男女平等推進プラン」が策定、さらに2006年には「男女平等推進条例」が策定され、推進プランも刷新された。そして2013年、このプランの検討や重点目標の検討、進捗状況を評価するための学識経験者による「男女平等推進専門委員会」が設置され、この度初めて報告書が提出された。
推進プランや条例自体、どこの自治体にもあるわけではなく、存在することだけでも賞賛に値するのであるが、問題はこの推進プランに沿って、実際に”推進”されているかどうかだ。
この度の選挙で女性議員比率が45%となり、全国の自治体でも1位か2位ということになった清瀬市議会だが、市の審議会や委員会では、女性委員比率が3割にも至っていないのが現状だ。「清瀬市まちづくり基本条例」では、市民公募委員の男女同数を原則とすることを謳っているものの、実際には達成できていない。地域防災計画を審査承認する防災会議にも、いわゆる当て職ではない女性の委員がやっと入ったばかりだ。さらに、職員数はほぼ男女同数であるにもかかわらず、課長以上の管理職は8%台であり、市区の全国平均12.4%にも満たないものとなっている。
推進プランの評価については職員・市民の意識調査を行うこととなっており、今回、職員に対するアンケートが行われた。女性職員へのアンケート結果からは、「女性管理職は必要だ」と約9割が思っているものの、自分自身はどうかというと、入庁当初は管理職になるつもりがある職員も、30代以降ではその志向が全くなくなるという傾向がみられた。
その理由としては、「能力に不安がある」、「自信がない」が最も多く、これは男性職員には見られない傾向であるとともに、男性職員からみた女性管理職の困難な原因としては、「家庭生活への支障」や「育児介護で迷惑をかける」であり、男女の課題認識の違いが明らかだ。
この結果は、これまでもそうであったが、女性の活躍推進を掲げている現政権の進めている休暇や働く時間の制度改革による環境整備だけでなく、職業能力を獲得し、管理職という職責を認識し、経験を重ね、評価を受けることを通して不安を解消するとともに自信につなげていくことが必要であることを示している。そして、モデルとなる女性管理職が増えることが、さらに続く人を育てることにつながるはずだ。この結果は清瀬市の職員に限ったことではないはずで、そういう意味でもこの調査は貴重なものといえる。
私自身も育児に時間を割く必要があった期間、必要な研修や自己学習など、不十分なまま仕事を続けなければならなかった経験があり、不安であり、自信がないという気持ちは理解できる。時間をつくることができれば、カバーできると考える一方で、継続するためには強い動機づけも必要だ。自身のことを考えてみても、代理人という役割においては、強い動機付けや使命感を持つことができるが、これが個人の職業となるとなかなか難しい。職場における自分の役割や、職を通して何かを変えたい、役に立ちたいという使命感といった、ある意味社会的な意義のようなものが、女性にとっては動機づけに結び付くのではないかと思う。
議員はもちろんのこと、職員も市民も、もっと女性が声を上げ、行動して行かなければ、清瀬市もこの社会も変わっていかないのではないか。特に、普段の生活は政治に直結しているにもかかわらず、「政治は男性のもの」と長年されてきた影響は、今でも根深く残っていることを感じる。
さらに、まだまだ根強く残る、性別によるあるべき論や役割分業意識は、女性の大学や大学院の進学率を下げ、自信を持てない原因の1つになっているだけでなく、男性自身も自分を縛り、そこにあてはまらないと感じたときの大きな自信喪失につながり、自殺率を上げていることに気付いてほしい。
最近話題になり、徐々に市民権を得てきていると感じるLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)が、「男女」という対立しがちな枠を超えた、一人ひとりが「みんな違ってみんないい」を実現してくれるきっかけになるのではないかと期待している。