食・健康・環境のつながりを考える

有機栽培の畑

日本の種子(たね)を守る会アドバイザーの印鑰(いんやく)智哉さんの「食・健康・環境のつながりを考える」講演を紹介します。

 

★地球は微生物の星

・微生物が地球で生命が生存できる基盤をつくった

・植物は微生物の力で育つ光合成によって作られる炭水化物→4割を土壌に放出→微生物を呼び込む→ミネラルを得る=共生

・微生物が作り出す根っこ=植物の根と菌根菌糸→多種の植物とつながっているほど生き残れる種を超えて支え合っている

・菌根菌糸から土壌に粘着性の高いタンパク質が分泌→バラバラの粒子である土を団粒構造に→土壌流出しにくい、保水できる→災害を防ぐ

ところが…

★世界から土がなくなる

・世界の土壌は60年でなくなる

・1/3の表土はすでになくなっており、5秒ごとにサッカー場1面分の土が流出している

 

★化学肥料・農薬が土壌を破壊、健康・環境被害に

・化学肥料の投入で植物は土中に炭水化物を放出しなくなり、微生物の活動が不活性化し共生関係は衰える→植物は病害虫に弱くなり、土壌は水を保てなくなる→土壌が流出しやすくなる

・化学肥料はすぐに水に流され、硝酸性窒素となり体内に入れば血中で酸素が運べなくなる

・富栄養化→藻が大量発生→海にデッドゾーン

・硝酸性窒素+石灰岩(CO2が固定化されたもの)→CO2発生→気候変動を促進

さらに…

★化学企業が農業に:種子・農薬市場の独占

・爆弾を作っていた企業がその工程で化学肥料を

・生物兵器→農薬、農業分野(種子+化学肥料+農薬)→遺伝子組み換え農業

・世界の種子市場の7割弱、農薬の8割弱を4つの企業が握る→企業から種子を買わなければ農業ができない

 

★農薬とその農薬で枯れない遺伝子組み換え種子

  • 農薬グリホサートが草を枯らすしくみ

・植物がアミノ酸をつくる経路をグリホサートが阻害→枯れる

・人体が必要とするアミノ酸の多くを腸内細菌が作り出す→神経伝達物質が欠如

  • 虫の腸を破壊する遺伝子組み換え作物の持つBt毒素

・腸の内壁に穴を開ける

・その作物を食べた人体に影響(栄養吸収や自己免疫、アレルギー、血液脳関門破損)

★米国での減少に転じた寿命(農薬グリホサート+遺伝子組み換え耕作との相関)

・慢性疾患、腎臓・腸の病気、がん(肝臓、胆管、甲状腺、膀胱、胆嚢)の増加

・自閉症の増加

 

★土壌と腸のシンクロ

・土壌細菌と腸内細菌は役割が似ている

・世界の土壌が傷つき、失われるのと同時に人々の腸も傷ついている

 

★Non-GMO(非遺伝子組み換え)に切り替える

・遺伝子組み換え作物を与えていた時は飼育している豚の医療費が上がるばかりだった→切り替えて2日で致命的な下痢がなくなり、その後潰瘍と胃病からくる死亡はなくなり、出生異常もなくなった→受胎率が上がり産む子豚の数も増えた

・人間の体は2週間で90%の細胞が入れ替わる→2週間有機食品を食べれば入れ替わる

 

★米国の親たちが立ち上がった

・2013年7月4日、米国の独立記念日に172カ所で遺伝子組み換えに反対し、食品表示義務を求めるデモが行われた→米国では5年でNon-GMO市場が4倍に→スーパーでもNon-GMO飼

料で飼育された肉が当たり前に買える

 

★遺伝子組み換えの行き詰まり→ゲノム編集

・細菌がウイルスに襲われると生き残った細菌はそのウイルスの情報を保存する。その情報を使い対象遺伝子を探し出し破壊する技術

・細菌由来の遺伝子、抗生物質耐性遺伝子、ウイルスなど挿入する。発現しないから消えていると説明されているが、その保証はない

 

★日本の状況

  • 輸入コーン、大豆のNon-GMO(非遺伝子組み換え)の激減

・コーンは2007年に3000t→2013年には1100t

・発泡酒などの糖類、粉ミルクも遺伝子組み換え

  • グリホサート(除草剤)残留許容量の大幅緩和

・小麦がグリホサートを摂取する経路としてダントツ1位

  • 2018年4月の種子法の廃止、種苗法の改正で種子が民間企業の知的財産権に

地域特産の種子がなくなる、種子が少数企業により独占→種子の値段が高騰→離農増の恐れ

 

日本でも給食に有機食材を使い、地域の食を取り戻すきっかけとする取り組みをしていきましょう。