中央集権化を進める地方自治法改正

生活者ネットワークでの市民自治を広げる活動

2000年に地方分権一括法が施行され、国と地方公共団体は対等・協力の関係となりました。その後、十分とはいえないながらも国から自治体への権限移譲が進み、独自のまちづくりにつなげてきた自治体もあります。
ところが、国会という議決機関を経ることなく、閣議決定のみで国が地方自治体などに必要な指示を可能にする地方自治法の改正がされようとしています。新型コロナウイルス感染症流行の際に、首相の独断で行われ全国を混乱させた一斉休校を想起させます。

◇国と地方自治体は対等な関係(地方分権一括法)
・地方分権一括法施行後の清瀬市での動き

清瀬市まちづくり基本条例(2002年制定)

わたしたち市民は、市民一人ひとりを大切にし、人と人とのつながりを育み、地域自治の担い手として市民と行政との協働によるまちづくりを行います。 わたしたち市民は、これまでの清瀬の歴史を尊重し、今後も子どもからお年寄りまでが生涯にわたり清瀬市で学び、働き、暮らし続けられるまちづくりを自らの手で進めるため、ここにまちづくり基本条例を制定します。(一部抜粋)

◇憲法で保障される地方自治
・憲法92条:地方自治(団体自治と住民自治)=民主化を進めるための規定
団体自治:地方自治が国から独立した地方自治体という団体の意思に基づいて行われる(94条)
住民自治:地方自治が住民の意思に基づいて行われる、議会と首長の直接公選制(93条)
住民投票(95条)

◇改正案の問題点
・国会での多様な意見を踏まえた議論を経ずに閣議決定により国が地方自治体に「指示」ができる
・「大規模な災害や感染症のまん延など国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生、または発生するおそれがある場合に」という条件がついているが、拡大して適用される可能性がある
・改正の理由は、新型コロナウイルス感染症の流行時に対応できなかった課題への対策とされているが、発生した課題に対する検証や分析が不十分の状態である
・地域の状況を迅速に把握し、必要な対応を判断できるのは自治体である
・災害や感染症まん延対策は現行の地方自治法の一般ルールで定められており、個別法により国が関与することが十分可能
・地域住民に生活サービスを提供する団体を市町村長が指定できることとする規定も含まれており、特定の団体を恣意的に支援することも可能になりうる

生活者ネットワークは、自治・分権型社会の実現をめざす地域政党です。
地方自治法改正案は団体自治・市民自治いずれの視点でも今後の自治・分権の行方に大きく影響するものです。地域の状況を迅速に把握し、必要な対応を判断できるのは自治体であり、必要なのはむしろ自治機能の強化です。