生成AI技術の現状と課題

体を面にあずけることで姿勢を安定させ利用できるトイレ

最近よく耳にするAIやチャットGPT。どう捉えればいいのでしょうか。公益社団法人東京自治研究センター事務局長で基本情報技術者、ITパスポート、生成AIパスポートの資格を持つ西岡芳宏さんの講演を紹介します。

◇人口知能技術(AI)の発展と社会への影響:変化のスピードは予想より速い
・認識:画像認識の精度向上(画像診断)、行動予測・異常検知(防犯・監視)
・運動の習熟:環境変化に柔軟に対応する自律的行動(自動運転)、優しく触る(介護)
・言語の意味理解:言語理解(翻訳)、大規模知識理解(秘書)

◇AIに仕事を奪われる?
・取って代わられるのではなく、むしろAIにより補完され、業務の補強になる
・しかし、適切な策が講じられなければ、一部の有利な立場の国や市場参加者のみ恩恵を享受

◇Open AIが考えるAIの変化の段階
・第1段階:自然な会話言語能力を持つAI
・第2段階:博士号レベルの教育を受けた人のように高度な問題解決可能なAI(現在の段階)
・第3段階:独立してまたは指示に基づいて行動することができるAI
・第4段階:新しいアイデアを発明し、人類の知識に貢献できるAI
・第5段階:組織全体の業務を独立して行うことができるAI

◇AI(人工知能)と生成AI(生成型人工知能)
・AI:人間の知能を模倣する機械やソフトウエアの総称でデータ解析、パターン学習を自動で行うことができる(検索エンジン、自動運転車)
・生成AI:新しいデータやコンテンツを生成するためのAI技術の一部、既存のデータを学習し新たなデータをつくる(画像生成、作曲)

◇LLM(大規模言語モデル)
・自然言語処理と理解が目的で膨大なデータを使い、テキストの要約、翻訳、質問応答を行う

◇RPA(Robotic Process Automation)
・業務プロセスの自動化(あらかじめ設定されたルールや手順に従い作業を行う)
・定型的な作業(データ入力、転記など)の自動化

◇生成AI チャットボット
・膨大な学習データと与えられた情報を基に回答を自動生成
・利用者の質問を認識し、学習済みデータを参照して新たな回答を作成

◇生成AI の基本的構成
・個人所有データやビッグデータに指示を与えることでAI が画像などを作る
・現行のAI 技術はどのデータを重視したのかの判断プロセスが不透明

◇現在の生成AI の実用例
・診断支援(可能性のある疾患の提案、画像診断の補助)、治療計画の立案、医学研究支援、医療教育支援(症例シミュレーション)、医療システムの最適化(人員配置や設備運用)

◇自治体の生成AI 導入例
・音声データから議事録の作成
・保育園の入園希望者の割り振り
・補修が必要な道路の損傷の判定

◇生成AI 活用の利点
・作業効率・生産性向上:単純作業の自動化、時間短縮
・データ分析・意思決定支援:大量のデータを高速で分析し、ビジネス戦略などの立案を支援
・24 時間対応:24 時間365 日顧客対応可能
・人材不足対応:限られた人材をより高度な業務に集中
・創造性拡張:新しいアイデアの創出を支援

◇生成AI 活用の課題
・学習データと生成物の著作権侵害:学習データに著作権で保護された作品が含まれる可能性
・幻覚の発生:学習データの誤り、文脈理解の難しさ、人間のバイアスの反映
・偽情報の作成、公開、拡散:高度に偽造できるため真偽の判断が難しく、SNS で爆発的拡散
・膨大な電力消費量:世界のデータセンターの電力需要は日本全体の総消費電力量に匹敵
・軍事利用に伴う危険性と倫理観なき残虐性
・投資ファンドのAI 利用による為替や株価市場への過度な影響
・生成AI の普及に伴う人体や脳に与える影響(考える機会や批判的思考力や独創性の減少)

ついて行くのが大変ですが、人間がきちんと使いこなさないといけないようです。