蕨戸田衛生センター組合における生ごみのたい肥化と障がい者雇用
東京のベッドタウンとして発展してきた埼玉県戸田市(人口13万)、蕨市(人口7万人)。
2市で運営する一部事務組合の衛生センターでは、最終処分場の跡地を利用し、リサイクルフラワーセンターを運営している。
1.生ごみのたい肥化によるごみの減量(戸田市25年度86000kg家庭系ごみの0.27%)
EMぼかし入りのバケツで収集(一次発酵済み)市が専用のバケツ(約19ℓ)を無償貸与
市民の持ち込み、NPOによる回収
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リサイクルフラワーセンターで裁断しながら乾燥、45日熟成、土と混ぜる
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花苗を栽培(25年度11万鉢):(有)日本花の友へ委託
県内の美里町での学校給食用の野菜の栽培にも使用
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花苗を市民に1バケツあたり24ポット提供、おまつりで配布、市内の花壇の寄せ植えに
フラワーボランティアとして両市だけでなく、隣接するさいたま市民も活動
2.リサイクルフラワーセンターにおける障がい者の雇用((有)日本花の友が雇用)
知的障がい者・ 精神障がい者を雇用(3時間/日)
(障がい者20名/日:埼玉県最低賃金、支援員として福祉作業所から5名/日・高齢者5名/日:945円/時)
両市の5か所の障害者施設から雇用、施設間や施設内の具体的な人員調整は障がい者施設側で実施
上記以外にも、戸田市では市内にある3つの駅の清掃、戸田市オリジナルマイバックの包装・配送、広告入りうちわの貼り付け作業など、さまざまな仕事を作り出している
3.リサイクルフラワーセンター26年度運営費(単位:百万円)
消耗品・燃料費 5.3
委託料 47.6
薬品等 0.4
計 53.5
4.リサイクルフラワーセンター整備費
276百万円(うち、土壌汚染対策費27百万円)
5.戸田市における関連事業
・花と緑のまちづくり オープンガーデンとだ 24軒の個人宅ガーデン
リサイクルフラワーセンターで生産したたい肥と花苗を活用
・フェルトガーデン戸田 商標登録し、ノウハウを民間にも提供
古布のリサイクルでできたフェルトと生ごみのたい肥を利用した屋上緑化や壁面緑化、ハンギングバスケットなど
一部事務組合における事業は、その事務組合で自立的に実施しており、構成自治体それぞれの考える事業を実現することは難しい面があることは否めない。ただ、あくまで主体は各自治体であり、どんな事業を展開していくのか、積極的な姿勢が失われることがあるならば、広域で効率的な事業をめざした事務組合の、そもそもの趣旨も失われることがあると考えざるを得ない。こうした意味でも、この一部事務組合における事業は、各組合において主体である自治体の意思があれば可能であることを示している。
生ごみのたい肥化によるごみの減量は量的にはわずかではあるが、象徴的なものとして継続している。福祉分野から異動してきた女性職員の吉田さんが、この環境分野の業務を福祉的就労と結び付けようと、さまざまなアイデアをだしてきたことが現在に至っている。
こうした取り組みは各自治体において少しずつ進んできているが、最低賃金を保障しているところは少ない。
民間においても必要なことだが、まずは行政において、業務を分解することを進めてほしい。障がいという個性を持った人の方が向いている業務がかなりあるのではないか。これは障がい者の自立を目指した就労という面だけでなく、業務の効率化にもつながり、その結果、財政コストの削減となるはずだ。