~あふれ出るマイクロプラスチック 私たちにできることは~
マイクロプラスチックが世界中で問題になっています。容器包装の3Rを進める全国ネットワークで長年プラスチック問題に取り組んでこられた中井八千代さんの学習会について紹介します。
★増加するプラスチック
・年間生産量3.8億トン(半分が容器包装類に、石油産出量の8%、1950年には200万トン)
・海に流れ込むプラスチック800万トン:一人年間数十キロ(ペットボトル100本、レジ袋300枚)
★持続可能な循環型社会(ハーマン・デイリーの3条件):3R(発生抑制・再使用・再資源化)の推進
・再生可能資源:利用速度≦再生速度・・・利用速度を抑える
・再生不可能な資源量+代替する再生資源量・・・維持する
・汚染物質:排出速度≦浄化速度・・・排出速度を抑える
★マイクロプラスチック(5㎜以下)による海洋ゴミ
・そのサイズで製造されるもの(洗顔料、歯磨粉のスクラブなど):カナダ・米国で使用規制
・大きなサイズで製造され、自然環境中で破砕・細分化されるもの:大きなサイズでの回収が有効
・プラには吸着性がある=有害物質を吸着し、魚や鳥の体内に取り込まれる
・日本周辺海域は、北大西洋の16倍、世界の海の27倍の個数:東京のポイ捨てが太平洋のごみ
★河川敷のごみで圧倒的に多い飲料用ペットボトル
・生産量はペットボトルのみ増加
・1年間でペットボトル1億本が散乱(200億本販売、27億本がリサイクルされない)
・海外でのペットボトルの調達や販売禁止例:自治体の調達禁止、自治体内での販売禁止
★サーキュラー・エコノミー(循環型経済):既存の製品や遊休資産の最大活用で利益を生み出す
・EU:ストロー、トレイ、食器、マドラーなどの使い捨てプラ製品の禁止
・コカコーラ:2030年までに包装材の100%リサイクル、新ボトルは100%植物由来
・マクドナルド、ケンタッキー:欧州・シンガポールで紙製ストロー導入
・イケヤ、ボルボ:2020年までに使い捨てプラ製品全廃
★容器包装リサイクル法の問題点
・法施行後20年だが、義務ではなくプラスチック容器の分別収集完全実施の自治体は、全国で7割
・リサイクルできる資源をごみとして燃やしている
・プラによるCO2増:リサイクル<ごみ発電(焼却)
・ごみ発電の効率は10%~20%、CO2削減効果も少
・収集費用の負担が重いため、完全実施の自治体の中でも焼却に転換する動きが出ている
★3Rの具体化
・Reduce(発生抑制):レジ袋有料化、京都市しまつのこころ条例(発生抑制・再使用の義務付け)
・Reuse(再使用):京都祇園祭リユース食器
・Recycle(再資源化):光学式選別機でのポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)の分別
♥わたしたちがめざしていくこと
・プラスチック資源循環戦略の熱回収リサイクルを削除(世界的な資源循環やパリ協定に逆行)
・街中に給水スポットを増やしマイボトル人口を増やす、ペットボトルはデポジット制度を導入
・容リ法を2R(発生抑制・再使用)促進法に改正し、散乱ごみの全廃をめざす
・大量生産依存型社会から持続可能な循環型・社会的コスト最小化社会へ
自動販売機に備えてある回収ボックスがいっぱいになっていたら、書いてある事業所等に連絡し飛散防止をするのも私たちにすぐできることとして紹介されました。
(参考)★ごみ・リサイクルの歴史
1970年代 | 戦後の高度経済成長、ごみ急増、焼却を中心としたごみ処理⇒東京ごみ戦争
埋め立て処分場のますますのひっ迫、新聞雑誌の集団回収、リサイクルが始まる 先進自治体で缶、びんのリサイクル始まる |
1980年代 | 缶飲料が3倍増、自動販売機の急増⇒リユースびんの減少
リユース:使い捨て 1973年7:3、1985年3:7、1992年2:8 多くの自治体でリサイクル⇒リサイクル費用の増大 |
1990年代 | プラスチック製造量倍増 |
1995年 | 容器包装リサイクル法制定(一般廃棄物総排出量ピーク:廃棄物1185g/人日) |
1996年 | 小型ペットボトル解禁(1995年14万トン⇒2004年約4倍) |
1997年 | 容器包装リサイクル法、一部施行(びん、ペットボトル) |
1998年 | 環境ホルモン、ダイオキシン問題 |
2000年 | 容器包装リサイクル法完全施行(その他プラ、その他紙) |
2001年 | 循環型社会形成推進基本法(拡大生産者責任)、家電リサイクル法、食品リサイクル法施行 |
2002年 | 自動車リサイクル法施行 |
2006年 | 容器包装リサイクル法改正(第1回) |
2013年 | 小型家電リサイクル法施行(廃棄物958g/人日:下げ止まり傾向) |