知っておきたい身近な法律の改正

癒やしてくれる花々

 

 私たちの日々の生活で関係の深い、消費者契約法や民法。最近の改正について清瀬市消費者団体連絡会主催で開催された池袋市民法律事務所の釜井弁護士による講座をまとめてみました。

 

 

売買やサービスを受ける契約に関する民法の改正(困ったときは、消費生活センターまたは消費者ホットライン188へ)

取り消しできること

・うそを言われた、必ず値上がりするなど言われた、不利益になることを言われなかった、通常の量をはるかに超える物を買うように言われた
・帰ってくれといっても帰らない、帰りたいと言っても帰らせてくれない
・不安をあおることを言って契約させる(就職セミナー、高齢者向けの投資用不動産販売、霊感商法など)、デート商法(消費者の好意を利用した契約)
・買うと言っていないのに寸法を合わせるなどして断りにくくする、わざわざ来たと交通費を払わせる 

無効にできること

・事業者自らが決めた責任の全部や一部を免除にするという契約の規定
・「いかなる理由があっても返品できません」など消費者の権利を事業者が決める規定
・成年後見制度を利用すると契約を解除されてしまう規定(住宅の賃貸の場合など)
・キャンセル料が高額な規定
・購入したものに勝手に同封されてきたものを断る手続きをしないと継続的に購入するとみなす規定

一定期間内であれば無条件で解約できること

・訪問販売(書面を受け取ってから8日以内)、電話勧誘

・マルチ商法(ネズミ講)、特定継続的役務(エステ、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービスなど)

途中の解約が可能なこと

 マルチ商法、特定継続的役務 

支払いをストップさせることができること

 クレジットカード決済(チャージバック、加盟店管理責任、アクワイヤラー、決済代行業者などの言葉がよく使われる)に関すること 

 

貸し借りなどに関する民法の改正(困ったときは、消費生活センターまたは消費者ホットライン188へ)

無効にできること

・上限額の定めがない個人の保証契約
・個人が事業用融資の保証人になる場合で、公証人による保証意思確認の手続きをしていないとき
・不当な抱き合わせ販売が規定されている場合 

法定利率の変更(将来的には市中金利に連動するようになる):5%だったが3%に
消滅時効の変更(職業別で年数が決まっていたが一律に):原則5年に
賃貸借での通常の使用による汚れ、傷などは借主の責任ではない: 明文化された

 

相続に関する民法の改正

○配偶者が住み続ける権利の拡充
・自宅を相続すると生活費として受け取れる現金が少なかった→自宅に住み続けながらその他の財産も受け取れるようになった
・自宅の生前贈与は遺産の先渡しだった→婚姻期間が20年以上なら生前贈与としなくなった

○預貯金の払い戻し
・遺産分割が終了するまで一切預貯金をおろせなかった→家庭裁判所の判断を経ずに相続予定の預金の一定割合をおろすことができるようになった

○遺言書の方式の緩和
・自書する必要があった→パソコンで目録を作成、通帳のコピーを添付し、財産目録には署名押印

○法務局の自筆証書遺言の保管制度の新設(2020年7月より)
・法務局に保管申請することにより遺言者の死亡後、相続人らから遺言書が保管されているかの確認、遺言書の写しの請求などができるようになる

○遺留分(遺言で自由に決められない遺産部分:相続人の生活を保護するため)の見直し
・事業を承継する妨げとなっていた事業用の土地建物などが共有名義となることを避けるために、相続人間で金銭による精算ができるようになった
 
○特別の寄与の制度
・相続人以外の親族が無償で療養看護など行っていた場合、相続人に対して金銭の請求をできるようになった

 

 120年前につくられた民法には、今の生活に合っていない規定がまだまだあるようです。なじみのない言葉も多いので、法律用語自体、変わっていく必要があると感じます。