ニセコ町のSDGsのまちづくり

SDGs17の目標

持続可能な社会を地域から実現するため、自治体とNGO/NPO、専門家・教育関係者、学生団体等が役割を持ち、「持続可能な地域づくり」に向けた活動を支えあう、「持続可能な地域創造ネットワーク」の設立記念大会でのSDGs(国連の持続可能な開発目標)のまちづくりを進める北海道ニセコ町長の片山氏の講演を紹介します。

 

 

☆ニセコ町の概要

人口5,405人、2,903世帯、面積197.3K㎡(山手線内側の3倍)、高齢化率26.2%(清瀬市は28.2%)、財政規模53億円

 

☆ニセコ町のまちづくり:環境を生かし、資源、経済が循環する「サスティナブルタウンニセコ」

 ◆社会面:安心して住み続けられる地域コミュニティの形成→住民参加による自治(SDGs11:住み続けられるまちづくりを、16:平和と公正をすべての人に、17:パートナーシ ップで目標を達成しよう)

・全国初の自治基本条例制定

・情報共有:町議会はもとより、会議は原則公開

・予算説明書の全戸配布

・町民はもとより、事業者も参加しての景観条例の策定

・外国人も参加してのまちづくり議論

・インターナショナルスクール(幼稚部から高等部まで)を開設

 

 ◆経済面:地域経済循環と稼ぐ力の強化(SDGs8:働きがいも経済成長も、9:産業と技術革新の基盤をつくろう)

・町の重要産業である観光の危機に当たっては町民が観光業者とともに観光協会を株式会社化

・町民が「東アジア観光客誘致協議会」を設立→台湾や香港に招致活動→町の厳しい環境・景観規制(乱開発防止)に共感する人々が海外から来訪

・町民の海外研修制度

・民間の「アウトドアセンター」設立

・ニセコ雪崩調査所の創設「ニセコ雪崩ミーティング」→雪崩事故防止活動→雪崩情報の発信→ニセコルール(注)の確立

・創業支援や企業進出支援(大規模から零細まで)

・ワールドスキーアワードでの「日本のベストスキーリゾート」連続受賞

(注)ニセコルールとは・・・1930年頃からツアースキーが開始、1980年代にはゲレンデでのスキーが盛んになり、山頂付近までリフトが開通、大勢の人が簡単にコース外に→国内で最も雪崩事故が多い山となる→コースとの境界にロープを張り、コース外に出るときはゲートから出る→雪崩の危険性があるときはゲートを封鎖              ニセコルールの精神「利用者の自由を尊重しつつ、その安全に重大な関心を持つ」

 

 ◆環境面:省エネ、再エネ導入の促進、資源循環(SDGs7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに)

・景観保全・開発規制、資源・環境保全(地下水保全条例・水道水源保護条例)+地域内エネルギー循環政策

・SDGsモデル事業

環境配慮型個別・集合住宅用地整備と建設促進、駅前に地域資源を活用した地域熱供給システム、環境配慮型の新庁舎、スマート交通

・ゼロカーボン宣言:2050年温室効果ガス排出量ゼロ

観光事業者による省エネ設備の導入や事業者向け学習会、ナイトカフェでの若者向け環境エネルギー講座、高校生が企画する高校生向けエコツアーなど実施

・「NISEKO生活」としてSDGsに則した生活形態を求める分譲地を開発

地域事業者と町が出資し、まちづくり会社「株式会社ニセコまち」を設立、土地開発・高性能住宅・エネルギーの分散・リゾートだけでない先進的な取り組みをテーマにした観光、まちづくりやエネルギー分野の実践的な教育の場をつくる

 

ニセコ町ではこれからの町のあり方を”自分のこととしてとらえている”人が多いということかと感じました。若い世代が”おもしろそう”と参加したくなるような工夫をしているところも大事です。

SDGsは小学校や中学校でも教えられています。お子さんやお孫さん、ご近所のお子さんと話してみるといいのではないでしょうか。身近なところからできることを具体的に進めていきたいですね。