コロナと環境とくらし

庭先にできたもぐら塚

コロナと気候変動と生物多様性はつながっている。清瀬市消費生活展での国際環境NGOであるFoEJapanの満田夏花さん、深草亜悠美さんの講演会を紹介します。

 

☆コロナ危機とは・・・行き過ぎた開発によるパンデミック

・森林伐採や野生動物の売買など、人間が多様な野生生物の生息域に侵入→伝染病

・大規模な農業開発など、多様性が失われた生態系では感染リスクが高まる

 

☆生物多様性の危機:100万種が今後10年内に絶滅する可能性

・原因:行き過ぎた開発、過剰伐採、乱獲、気候変動、汚染、外来種

・生物多様性とは:生き物たちの豊かな個性とつながり生態系・種・遺伝子の多様性

・40億年の地球の歴史の中で環境に適応して進化し、3000万種が生まれた

・生物の絶滅:年間4万種で自然に絶滅する速度の1000倍

 

☆生物多様性のめぐみ

・生きものが生み出す大気と水:酸素の供給、気温・湿度の調整、栄養素、豊かな土壌

・暮らしの基礎:食べ物、木材、医薬品

・文化の多様性:地域性豊かな文化、自然と共生してきた知恵と伝統

・防災:マングローブや珊瑚礁による津波、山地災害や土壌流出などの軽減

 

☆気候変動と生物多様性

・森林は炭素の貯蔵庫:天然林は8000年前に比べると2割しか残っていない

・森林火災:アマゾンでは昨年伐採、開発のための火入れ、乾燥化により九州程度の面積が消失、インドネシアではパーム油農園開発のために今年東京都4つ分消失

*パーム油:チョコレートやスナック菓子用に、日本も輸入。近年パーム油を原料としたバイオマス発電が急増。北米の天然林木質ペレット利用のバイオマス発電も。

 

☆気候危機

・産業革命の時期の1800年代後半と比べ、世界的に平均1℃気温が上昇

・2015年パリ協定:今世紀末までの地球平均気温の上昇を1.5℃に抑える(産業革命前と比較して)→2050年までに温室効果ガス排出を実質0にする必要

・適応できる範囲を超える気象災害の時代

・日本を含む世界の中の最も裕福な10%が地球の温室効果ガスの50%を排出

☆社会の危機

◆コロナであぶり出される差別構造:コロナ以前からあった移民差別、経済格差、女性差別などが深刻な形で発露

・アフリカ系市民の死亡率が白人よりアメリカでは3倍、イギリスでは4倍高い

・日本でも休校やステイホームで主に女性の負担が増加

・世界的に非正規雇用の労働者が解雇され経済的打撃を受けている

◆コロナを理由に縮小する市民社会

・緊急の名の下に強権的な政権が危機と無関係な政治的弾圧や市民の監視を強化

・市民は在宅を強いられる一方、採掘や火力発電所建設など企業活動の継続が許されているところも

・都市で低賃金で働いていた地方の貧困層がロックダウンで居場所を失い、徒歩で故郷に帰るという人道的危機

 

☆危機に立ち向かうために

・原発は低炭素電源と言われるが、温暖化により海水温が上昇し冷却水に使えない

・低炭素への投資、住宅の熱効率改善に補助金

・生物多様性の保全、温室効果ガスの削減、持続可能な生活スタイル、人権政策、民主的意思決定プロセス

 

私たち人間は生態系の一部のはずなのに、支配していると勘違いしているのでは。環境危機が人間社会の危機につながるということなのに。