私たちの個人情報がますます危ない?!

女性の人権を守る訴え

コロナ禍で接触を控える必要から、さまざまな面でのデジタル化が求められています。その必要性は理解するところですが、国はそのデジタル化の目玉としてマイナンバーの利活用を進めようとしています。

この利活用において気がかりな個人情報の保護は、これまで地方自治体が先導する形で進めてきました。国はこの自治体の個人情報保護がマイナンバー推進の足かせになっているとし、その条例をなくそうとしています。私たちの個人情報はどうなってしまうのか。共通番号いらないネットの原田富弘さんのオンライン学習会に参加しました。

 

☆個人情報保護の体系と規制の違い

◆民間事業者とマイナンバー:国の個人情報保護法(簡単に他の情報と照合できないものならば保護しなくてよい=最もゆるい)

◆行政機関・独立行政法人等個人情報保護法

◆各自治体:条例(難しくても他の情報と照合できてしまうものであれば保護の対象=最も厳しい)

 

☆国民総背番号制に反対して作られてきた各自治体の個人情報保護条例

◆1967年 住民基本台帳法が制定され、国により統一個人コードが検討

→国民総背番号制につながると全国的に反対運動により検討中止

◆1970年代から全国各自治体で個人情報の保護に関する条例が制定される

 

☆多くの自治体での外部オンライン結合制限

◆外部提供禁止(住民福祉の向上のために必要で審議会が認めた場合を除く)

外部提供された場合に保護措置をとることが困難であるため

※審議会:自治体の審議会は人権保障と信頼される行政運営を目的としている

専門家に加え、市民が委員として参加し、個人情報の開示や取得、目的外利用・提供、オンライン結合、苦情処理など検討し、意見を述べる

 

☆配慮が必要な個人情報:本人の同意がないと取得、第三者提供も不可

◆国:人種、信条、病歴、前科、犯罪被害、障がい、健康診断や検査の結果、不当な差別や偏見につながることを対象に

◆これらに加え、多くの自治体では思想、信教、支持政党、民族、LGBTに関する事項、生活保護受給などを対象に

◆自治体は配慮が必要な個人情報の塊を受ける→信頼関係がなければ安心して提供できず、行政サービスが受けられない=行政も責任を果たせない→民間とは別の規程を設ける必要

 

☆多くの自治体での個人情報収集の「必要最小限」原則

◆項目、範囲について本人以外からの収集時、外部委託事務時、外部提供データ記録時、オンライン結合時に必要最小限としなければならないと規程

 

☆国がめざすもの:規制のゆるい方に統一(データ利活用>個人情報の保護)

◆国、独立行政法人、民間事業者、地方公共団体で異なる個人情報の定義の統一

◆医療・学術分野における規律を統一(患者データの共有の際など)

◆国に従わない自治体に対しては、勧告

 

☆自治体の条例が「コロナ対策の支障」ではなく、「システムの不備」が原因

◆新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS:ハーシス)には当初、ネットワークにアクセスした記録を確認できる機能が無く、自治体からの指摘を受けて後日機能が追加された

 

☆地方自治が問われている

◆全国の自治体は国に対し反対意見を上げている。特に人間関係が密接な町村では、個人情報の扱いに大変な注意を要している。亡くなった方についてもご遺族への配慮が必要。

 

ドイツではマイナンバー(国民総背番号)を作ること自体、憲法違反だそうです。

給付金で欠陥があることが明らかになっただけでなく、そのしくみを安心して使える体制が損なわれるのであれば、到底使おうとは思えません。