児童相談所と地域が連携して子育てを支えるまちづくり
児童虐待の増加もあり、特別区では児童相談所の設置が進められています。現在、世田谷区、江戸川区、荒川区、港区が開設しています。
2020年4月に開設された江戸川区児童相談所“はあとポート”は、地域の人とのイベントにも利用する体育館も備えています。江戸川区子ども家庭部の上坂かおりさんのお話を紹介します。
◆江戸川区の現状
2010年に小学校1年生の児童が虐待死する事件が起きた
児童保護数:2020年は児童相談所として全国3位
コロナ禍では、イベントや行事などが減り、発見されにくかったのではないか
ストレス、無気力、在宅ワークで逃げ場がない、経済的不安定
育児の孤立により不安定に→愛着形成の不安
◆区に児童相談所がある意味
子ども家庭支援センターと一体化しての支援(清瀬市では小平児童相談所と連携)
警察との連携・設置への理解、議会の応援、地元の寄付の多さ
地域支援サービスのフル活用
最初にかかわる人がずっとかかわり、とことん向き合う
都児童相談所では、介入と支援だったが、区児童相談所になり、支援が中心になり、地区別に援助ができるようになった
◆様々な支援、援助
お隣さん支援、メンタルフレンド(大学生による)、寄付、雇用、地域復帰後の見守り
◆施設における課題
職員の負担、20代の職員が多い(対人スキルの未熟さ)、SNSなどの影響による課題の複雑さ、
予防支援の未成熟(そこまで手が回らない)
◆かかわった家族や親の傾向
支援されることを避ける(叱られてきた人が多い)
子どもを愛せない
信頼関係を築くことへの恐怖(裏切られる恐怖)
SNSの影響
◆子どもへの影響
子どもの気持ちより自分優先の親
同居人と化した家族
発達障がい、愛着障がい(生後6ヶ月~2歳のときが大事)
SNSやインターネット社会の弊害:優しくしてくれる、自分の好きなものだけに囲まれる
◆区の児童相談所の役割:支援が必要な家庭と地域の学校、保育園などをつなげる=地域を育てる
◆「つながる」の支援
子どもをきっかけに地域関係機関とつながる
通告や相談をきっかけに行政とつながる
支援事業を通して人とつながる
◆地域でできること:困ったときに頼れること
この人なら話してみよう、この人なら助けてくれる、いつもそこにいる
信頼関係のための大きなスタンス
◆子どもを支えるために
家庭への見守り機能の充実:学校、保育園、民生児童委員
声かけ、あいさつ、自分の居場所、価値観を認めてくれる人、自分だけを応援してくれる人
小さな成功体験を経験させたい、「大丈夫がんばっているよ」のことばかけ
困ったときに“はあとポート”に聞いてみよう
はあとポートでは、里親制度や養子縁組にも力をいれており、すでに29組の里親さんがいるそうです。
児童相談所への「通告」はまだまだ抵抗があるとは思いますが、「地域の人とつながるきっかけ」と考え、「ひとりでがんばりすぎない」ことをあたりまえにしていきたいものです。
「大丈夫がんばっているよ」ということばかけ、とてもいいですね。