自己・他者・世界への基本的信頼をどうつくるか ―学び合い、育ち合いをすすめる一助としてー

地域の子どもの居場所「そだちのシェアステーション・つぼみ」マンガもたくさんある本棚

男女共同参画週間記念講座として、清瀬市男女共同参画センター主催で行われた菅間正道さん(自由の森学園高等学校長)の講演を紹介します。

 

〇「ことば」は「認識」の反映:言葉は世界に区切りをいれる

・エスキモーは何十種類もの「雪」の名づけをしている

・日本では雨や風にたくさんの名づけ

 

・若者は、人間関係の名づけ(キャラが立つ、KY、ぼっち、便所飯、コミュ障など)

しかもネガティブなことばが多い=人間関係がしんどいということでは

⇒安心・安全に生き、自己・他者・世界と出会い、信頼・受容することができないのでは

⇒基本的信頼の欠落の中に生きているのではないか

 

○日本の子どもたちを覆う3K+N

・競争主義のK

学力テスト、業者テスト、調査、アンケート

生徒間、教師間、学校間の競争

・管理主義のK

校則、暴力的指導

子どもの自主的・自発的自由を封じ込め、怒られないようにと自己検閲を進める

・空気を読めのK

過剰な気遣いと配慮により空気を読む

垂直支配:教師や親にどう見られるか、どう評価されるかを絶えず意識:いい子競争

「知識・理解」に加え「関心・意欲・態度」を評価項目として点数化

水平支配:教室での序列化、日々のいじめにさらされる、戦場を生きている

⇒共有された普遍的な否定的経験がイジメ

⇒演技的自己、パフォーマンスの場が学校

・ネット社会、消費社会の拡充と浸透(N)

ネットにおける格付け・序列社会

⇒3K+Nで安心・安全・信頼の空間を生きられないことが生きづらさなのでは

・自分なんて生まれてこなければよかった

たえず、存在不安にさいなまれる

⇒精神的幸福度は38カ国中37位

・社会に共有されなければならない問い

子どもたちは、どこでどんなふうに安心して自由に「本当の自分」「本来の自己」を表出・表明・表現できるのか

 

○この状況にどう向き合う

・子ども・若者の学びと育ちにとって2つの「あい」が重要

学びあい、支えあい、聴きあい、かかわりあい、活かしあい⇒相互交渉と互恵

私のI⇒<私>のことばが紡ぎ出され、それがだれかに受け止められ安心・安全な空間となる

・自分が外界の変化の原因となりたい:自分の意見で場が動くことで相互承認へとつなげる

自己決定・自己選択のチャンスを与え、実行させる

 

○相互応答から基本的信頼をつくりだす

・まず子ども・若者の声を聴くこと

・安心して声と存在を受け止めてくれる他者がいてくれてこそ声を発することができる

・人間は、他者に認められ、尊重されて、自分がこの世に生まれたことに価値があり、かけがえのない存在であることを経験する必要のある存在

・リアルでもネットでもRespect(尊重)不在の状況にある

⇒互いにRespectしあえる関係性と場をつくる

・自分の信じた道を往く=自分という船の船長は自分である

学ぶことや社会にかかわることで羅針盤をつくる

困ったときには隣の船、船団にヘルプを求める

・ハッピーな親でなければハッピーな子育てはできない

親自身が自己のケア、自愛、自尊感情を育めているか

 

学校が「日々いじめにさらされている」状況にあることは、変えていかなければなりません。そのためにも、生きていくうえで欠かせない「基本的信頼」をつくりだせる環境をせめて地域でつくっていけたらと思います。一人ひとりがだれかにとっての「安心して声と存在を受け止めてくれる他者」になれれば、「本当の自分」を出せる場を増やすことができるのでは。