にほんでいきる~外国からきた子どもたち~
清瀬市にも約千人の外国人の方々が住んでいます。市ではHP で多言語や、やさしい日本語での案内をし、学校では日本語指導担当の教員や講師がかかわっていますが、さらに充実させていく必要があると考えます。
学生時代にかかわった外国人の子どもの教育環境への課題に20 年継続して取り組む、毎日新聞の記者奥山はるなさんの講演を紹介します。
☆公立学校における日本語指導が必要な児童生徒
○不就学問題
・就学不明1.6 万人(2018 年文科省100 自治体調査)
・「国民は・・・教育を受けさせる義務を負う」(国民以外は対象外)
・就学義務については種々ある外国人学校の扱いがネック
・外国人の子の保護者に就学義務はないが、義務教育の学校へ就学を希望する場合には日本人児童生徒と同様無償=住民票データから「学齢簿」を作成⇒就学年齢(6 歳~15 歳) の子どもがいるときは虐待も疑われる居所不明児として取り扱う⇒自治体の教育委員会に安否確認義務(転出と転入が1 日も空かないことを確認)
○就学不明全国調査(2019 年文科省)
・就学不明2.2 万人(住民登録―就学児童生徒)⇒計算するだけ、全自治体で調査可能、予算もかからない
・2005~06 年調査では、12 自治体が家庭訪問調査に協力⇒時間も手間もかかり、ノウハウも
○日本語教育推進法(2019 年6 月成立):日本語教育を国と自治体に義務づけ
・就学の指針(2020 年文科省)
・毎年の就学不明調査:2022 年は1 万人
・全ての外国籍児に学齢簿がある自治体86.4%に(2023 年)
・外国籍の15 歳~19 歳の不就学・不就労8.2%(日本籍の2 倍):適切な日本語教育を受けられず社会に溶け込めない
○各地で実施されている日本語学習
・自治体の日本語教室
・多言語連絡帳アプリ
・少年院での日本語学習
○言語教育についての理解の欠如
・板書を写しても自分の書いた字が読めない、数が数えられない、話せない
・特別支援学級在籍率:外国籍児童生徒の在籍率は全児童生徒の2 倍⇒支援学級で意欲を失い、日本生まれで日本語が話せても読み書きができず学べない
○就学不明がわかったとしても支援がなければ不登校に
・32 人の不就学児を見つけた自治体でも、すぐに就学できたのは1 人だけ
・学校に行かない理由は日本語を教えてくれないから
・不就学調査で学校に行っていないことが判明しても、その後の状況確認が必要
・日本語教育の体制整備や居場所づくりが就学と結びついているのでは
○支援の事例
・共働きの親にかわり家事や兄弟の世話をしていた15 歳⇒自治体の不就学クラスに通う⇒読書好きで英語や数学の力を伸ばす⇒中学校に通うことを検討
・中3 で来日し就学したものの、担任の先生や友だちも何を言っているのかわからなかった⇒半年後に除籍⇒犯罪により少年院に⇒少年院で始めて日本語学習を受ける
○外国人の就学促進のための支援
・プレスクール(就学前の幼児を対象とした教育・支援)
・プレクラス(就学後の初期指導教室)
○就学状況不明児への取り組み
・外国人学校との連携
・国私立学校、他市町村の学校との連携
・入国管理局への確認
ひらがな・カタカナ・漢字と3 種類を学ばなければならない日本語は他の言語よりハードルが高く、学校での日本語指導だけではなかなか難しいのが現状です。地域でともに暮らす子どもたちに本来の学習を進める前提となる日本語学習をさらに進めていくことが必要です。小西が小学校に入学した当時はひらがなで自分の名前が書けるくらいを前提に授業が始まったと記憶していますが、今はそういうわけではないこともハードルを高くしているのかもしれません。