東京都港区におけるヤングケアラー支援

ヤングケアラー支援が各地域で進められています。各国の大使館が集中する、人口26万人の港区でのヤングケアラー支援について、区子ども家庭支援センターの髙橋康子さんの講演を紹介します。

◇ヤングケアラー実態調査から見えた港区における課題
・家庭が抱える様々な状況・課題の共有と支援
・子どもが声を上げやすい環境づくり
・子どもの身体的な負担軽減と心理的サポート

◇ヤングケアラー実態調査から見えた港区における課題への取り組み
・ヤングケアラー支援コーディネーターの配置、ヤングケアラー支援体制検討委員会の設置
・ヤングケアラー支援ガイドラインの作成、周知・啓発
・家事育児支援(訪問支援・配食支援)、外国語対応通訳派遣

◇ケアによる子どもへの影響:責任の重さ、量、時間、期間⇒過度な負担がもたらす影響

◇港区のヤングケアラー支援で大切にしている視点
・ケアすることもケアしないことも選択してよい
・子どもがいつでも声を上げることができる環境づくり

◇港区の支援の特徴
・ヤングケアラー支援コーディネーターを子ども家庭支援センターに配置し、他機関との連携によるアウトリーチ型支援を実施

◇ヤングケアラー支援コーディネーターの役割
・区内各相談窓口からのヤングケアラーに関する相談への助言
・ヤングケアラー支援に関する関係機関や民間団体との連携調整
・ヤングケアラーに関する意識啓発

◇支援のための連携と流れ:気づく⇒つなげる⇒支援する⇒見守る
・気づく:日常的な関わりにより、様子が気になる子どもに気づく
・つなげる:ヤングケアラー支援コーディネーターに報告・相談
・支援する:支援方法を決め、ケース検討会議を開催、本人の意向を踏まえた支援計画作成
・見守る:必要な支援に変化がないか、ライフステージやケア負担の変化などを確認

◇支援のための連携における本人同意
・早い段階で本人同意が得られると支援が円滑に
・連携先でも個人情報は守られることを伝える
・本人同意が得られない場合のコーディネーターへの相談は、名前は伏せて状況のみ伝え、本人へのアプローチ方法も含めて相談する

◇ヤングケアラーに気づくポイント
・子どもだけで食材や日用品の買い物をしている、子どもや保護者・家族に疲れている様子や精神的な不安定さがある
・子ども食堂、民生・児童委員などが子どもの様子や家庭訪問時の様子から気づく
・保育園・児童館・学童クラブなどでの子どもの様子や家族の話から気づく
・家族の介護支援のために家庭を訪問する相談支援員などが、子どもがケアを担っていることを見かける、家族の話から気づく

◇支援における留意点
・ヤングケアラーであることを本人や家族が認識していない場合の対応
・ケアを担っていることを否定しない
・ヤングケアラーであることを知られたくないケースへの配慮
・本人へのメンタルサポートが必要(支援を受けることへの罪悪感や迷い、ケアをしなくなることで喪失感を抱く場合も)
・家族調整(家族内の役割分担の見直し)が必要

◇ヤングケアラー支援の今後の課題
・過度なケアの判断:一人一人の客観的状況や、主観的な受け止めを踏まえ個別に判断する
・対象年齢の拡大:進学や就職という重要な移行期も切れ目なく支えるという観点から30歳未満を中心に
社会生活を営む上での困難を有する状態に引き続き陥っている場合など状況に応じ、40歳未満も対象に

清瀬市でもヤングケアラー支援として家事支援などに取り組んでいます。また、ヤングケアラーは発見することが難しいため、ヤングケアラーのイメージ図を示したアンケートを小・中学生に実施しています。地域でのちょっとしたかかわりがきっかけになることもあるかもしれません。