子ども・若者を取り巻く現状と課題、そして必要な支援

出前プレーパークにて

瀬戸内寂聴さんたちと立ち上げた「若草プロジェクト」を通じて困難を抱える若い女性を支援する活動を行っている元厚生労働事務次官 村木厚子さんの講演を紹介します。

◇貧困は連鎖する?
・大学等進学率:全世帯83.8%/生活保護世帯42.4%/ひとり親世帯65.3%/児童養護経験者38.9%
・教育無償化だけでは限界がある:住居費、生活費、交通費、参考書、部活動

◇児童相談所における児童虐待対応件数:全国233箇所で令和5年度225,509件
令和3年度の対応の内訳:相談対応件数207,660件のうち、一時保護27,310件、施設入所等4,421件(児童養護施設2,360件、乳児院685件、里親委託等617件、その他施設759件)

◇ケアリーバー(社会的養護経験者)の若者が陥ってしまう社会的な困難
非正規労働の割合47%/収入より支出が多い23%/病院等を受診できない経験があった20.4%(一番多い理由「お金がかかるから」)/若年ホームレス向けの聞き取り調査では、50人中6人児 童養護施設出身者がいた/ケアリーバーが選ぶ職業は寮付きの仕事/失敗が許されない人生

◇不登校小中学生の推移:増え続けている(令和5年で34万人)
学校に行けない問題VS学校に選択肢がない問題/高校になると不登校が減る→選択肢と非常口/学校悪い?7割の子が楽しく通っている、1割が不登校/大人ができること:30秒の雑談

◇年齢層別自殺死亡率
・令和6年は前年と比べ多くの年齢層で低下したが、9歳以下と10代は横ばい
・15歳から34歳の死因:1位:自殺、2位:事故、3位:がん

◇日本の子ども・若者の状況
貧困、虐待、不登校、自殺、様々な問題が/児童福祉にみんなつながれるか、つながれば大丈夫なのか/保護:制約と引き換え?自立:依存しないこと?/「移行期」「狭間」に弱い「制度」/「幼少期」「職業生活の初期」の重要性

◇若草プロジェクトはこんなふうに始まった
女の子が心配、SOS が出せないでいる/支援団体もみんな苦労している/なんとか横につながれないか・・

◇相談はハードルが高い
もっと早く支援につながっていれば/検索しても適切な情報がない/「怒らないで聞くよ」と窓口に明示してほしい/自分だけかと思っていた→とてもじゃないけど言えない/みんなそうかと思っていた→当たり前のことだから言う必要がない/自分が悪いと思い込まされていた/一緒に考えてくれる人がいたら/家と学校、会社以外の居場所が必要

◇若草プロジェクトに相談してくるのはどんな人、どんな時?
もやっとした感情の整理をつけたい/アドバイスがほしい/自分の考えを否定せず聞いてほしい/寂しい/公的機関の大人を信用していない/見知らぬだれかに自分の悩みや思いを打ち明けた
い/いい意味で「普通の女の子」/自分の現状に疑問や不満を持つことができて、言いづらいことを打ち明け協力を求める力を持っている人

◇子どもに寄り添うのは誰か
・子育て4訓:乳児はしっかり肌を離すな/幼児は肌を離せ、手を離すな/少年は手を離せ、目を離すな/青年は目を離せ、心を離すな
・なぜ親は手放せるのか:子どもが学習経験等を通じて「生きる力」を身につけるから/子どもが親以外の頼れる先(友人、先生、恋人、新しい家族、同僚など)を見つけるから

◇「自立」とは
「『自立』とは依存しないことではない。『自立』とはたくさんのものに少しずつ依存できるようになることである」(熊谷晋一郎)

◇TsunA が~る(つなが~る):社会の中に大きな応援団をつくるプラットフォーム
プラットフォームによるマッチング/「困っています」と「私にできることでよければ」をつなぐ/支援を選べる、「○○がしたい」が叶うことの大切さ、「モノ」がつなぐ

◇首都圏若者サポートネットワーク
・何らかの事情があって公的支援のもとで育った子ども・若者が、社会の中で自らの力を発揮して生きていくことを伴走型で応援する民間ネットワーク(2018 年から)
・生協、市民団体等に寄付を呼びかけ、延べ259 件の支援活動に1 億5000 万円以上を助成
・支援実態の調査研究をもとに政策提言→児童福祉法の改正により18 歳を超えても必要に応じて継続して自立支援を受けられるように、施設退所者への相談、伴走支援を行うアフターケアを

「怒らないで聞くよ」と窓口に明示してほしいとは・・。どれだけ傷つけられてきたのでしょう。それまでになかなかできなかった「選べる」経験ができることが大切ということも心に響きました。