会津若松市議会の議会改革

議会改革の先進的な取り組みを行っていることで、連日、全国からの視察がやむことない会津若松市であるが、今回はその取り組みの中で広報広聴委員会について議員の方々にお聴きすることができた。

まず、議会改革取り組みのきっかけはどのようなことだったのか。

議長選挙で3人が立候補した際、1名が所信表明を行うことを明言したことにより、他の2名もせざるを得なくなり、それ以来所信表明をともなう立候補制により議長選挙を行うことになった。その際の議会改革をすすめる所信表明をした新議長からの提言が、「市民の負託に応えうる合議体たる議会づくりを目指して」であった。

地方分権一括法により、自治体は自らの責任においてすべての事務を決定することとなり、これらの事務に対して、議会の権限が強化された結果、議会の担うべき役割や責任も大きくなった。このような中、地方議会を担うものがその責務を果たしていくためには、二元代表制の趣旨を踏まえ、首長と相互の抑制と均衡を図りながら自治体の自立に対応できる議会へと自らを変革していかなければならない。これについては「議員政治倫理条例」として示されている。

さらに、首長に対抗するために議会がひとつにまとまる必要があるだけでなく、議会は市民の意見を後ろ盾として活動していくべきであるという考えに前進した。

その理念を示す「議会基本条例」には、「開かれた議会運営の実現」と「政策提言と政策立案の強化」をめざし、前者では市民の議会への直接参加、後者では合議体たる議会としての政策提言のシステム確立と能力向上としての政策討論会を掲げている。

さらに「政策提言と政策立案の強化」のための政策提言のシステムについては「政策形成サイクル」のフレームを策定。(フレームは会津若松市議会HPに。)

市民意見を「伝達」するだけでは議会活動として認識することはできないとし、少なくとも議会内にも政策情報として蓄積する必要がある。また、特に横断的な課題設定は縦割り組織の執行機関では困難であり、議会ならではの課題設定ともいえる。 

政策形成の過程を見ると、意見交換会で出された課題を広報広聴委員会で問題分析、論点抽出、学識経験者に専門的知見を集め、論点整理のために議員間討議を行っている。議員個々人の主観的な議論に、専門家による客観的・理論的・規範的な視点を取り入れている。

これは、議決責任を遂行するためにも必要である。議決責任を果たすためには、説明責任を果たす必要があり、そのためには議会としての結論を導く必要がある。そのための議員間討議である。さらに説明責任を果たすための議員間討議は、論点を明確にしながら、合意点と、合意に至らなかった点を明らかにすることができて初めて議会(委員会)としての議決結果を説明することができる。

議会改革は議員にしか興味のないことかもしれない。小西自身、清瀬市議会に入って初めて議員間討議が行われていないことがわかり、しかもほとんどの自治体で行われていないことを知った。

清瀬市議会の議会改革の現状は会津若松市議会には程遠いといわざるをえないが、まずは議会が何をしているのか、きちんと責任を果たせているのか、議会側から示していくところから始めなけれなければならないことを改めて感じた視察となった。

メンテナンスしながら使われている会津若松市役所

伝統を感じる会津若松市議会の議場にて生活者ネットワークの仲間と