貴重な憲法学習会

左から伊藤真先生、小林節先生、奥に南部義典氏と参加者有志

12月23日、立川生活クラブ運動グループ地域協議会の主催で開催された憲法学習会に参加した。憲法研究会の南部義典氏のコーディネートによる、改憲派といわれてきた小林節先生と、護憲派といわれている伊藤真先生の対談という貴重な機会のため会場は満杯だった。

 

特定秘密保護法はアメリカにもあるが、守秘義務を負った中立の立場の裁判官により、まだ加工されていない生情報を秘密として指定してよいかどうかの審査を行うこと、指定された秘密は30年経つと必ず公開される点が日本と大きく異なっている。

イラク戦争で日本が16,000人ものアメリカ兵を移送していたことが判明したのは民主党政権の時であり、政権交代こそが、最大の情報公開といえる。

 

集団的自衛権の意味するところは、アメリカが望むところには必ず派兵しなければならないというアメリカに必ず従う義務が発生するということだ。そのため、現在の憲法下では、憲法違反という理由で派兵を断ることができる場合、例えばアメリカの侵略戦争という場合にも一緒に戦うことが義務となってくる。

朝鮮争乱での派兵以来、解釈で海外派兵を行ってきているが、これは解釈の名による憲法の破壊であり、法論理的にもあり得ないこと。海外派兵はまさに解釈の域を超えている。さらに本来は違憲なのに、解釈の範囲を広げようとしている。憲法が明確に禁止していないため、解釈の余地があるともいえる。

 

一票の格差については、何倍以内ならいいという問題ではなく、まさに憲法違反である。なぜなら、国会で議員一人一票なのは、同じ比率で主権者がそこにいるという前提があるからだ。

その前提が崩れている状態は憲法違反以外の何物でもない。裁判所が、本来は違憲無効判決しかありえない中で、違憲状態判決や、違憲違法判決という、屁理屈をこねていること自体、憲法違反である。憲法の存在意義がないといわざるをえない。

 

お二人の対談から、私たち市民は改憲・護憲と批判、対立するのではなく、お互いの考えを理解し合うための対話こそ必要であることを強く感じた。

小林先生は、35年ほど自民党議員へのアドバイザー的役割をされており、現在の自民党議員の大多数は憲法改正にそれほど関心があるわけではなく、一部の憲法マニアともいえる世襲議員が執着しているという実態もお話し下さった。

96条改正がうまくいかなかったことからも、憲法は無視し、解釈ですべて通そうとしているのがみえる。明文改憲は無理だから、解釈改憲で行こうとしている。

来年は「改憲はそれほど悪いことではない」という、改憲PRをするのではないかということ、何をしようとし、何を変えようとしているのかますます注視していく必要があるようだ。

12月23日は折しも、南スーダンのPKO活動に関連し、日本政府が、陸上自衛隊の銃弾1万発を、PKO協力法に基づき、国連を通じて韓国軍に提供する方針を決めた日となった。 PKO協力法に基づき国連に武器が提供されるのは初めてで、政府は、緊急性が高いことから、いわゆる武器輸出三原則の例外措置として実施したとする官房長官談話を発表した。なんでも例外で通してなし崩しにしていくつもりなのか。