~褥瘡予防のための摂食・嚥下障害を知る~

以前視察した浦安の「夢のみずうみ村」でのたくさんの種類の健康トリム

80代になると介護を必要とする人は7割に上り、医療との連携がなければ日常生活が難しくなります。清瀬市でも医療と介護の連携を図るための協議会が設置され、数年前から定期的に会議等が開催されています。参加者は医師、訪問看護師、薬剤師、歯科医師、行政担当者、地域包括支援センター職員、ケアマネージャー、病院メディカルソーシャルワーカー、リハビリ職員、栄養士、介護職員、居宅支援事業所など多職種の方々です。

先日、この協議会主催の研修会で複十字病院の管理栄養士さん、言語聴覚士さんの講演がありましたので紹介します。

 

★嚥下障害が褥瘡につながるメカニズム

・嚥下障害=食べにくい⇒低栄養⇒衰弱・筋肉量減少(⇒基礎代謝の低下⇒エネルギー消費量の減⇒食欲低下)⇒身体機能の低下⇒活動量の減少⇒褥瘡

米飯:100g168Kcal⇔全粥:100g71Kcal

体重が1か月で5%以上、半年で10%以上減ると元に戻りにくい

*褥瘡:いわゆる床ずれ 長い時間同じ体勢でいることにより、血行不全により壊死が起きるもの

 

★高齢になるとだれしも摂食嚥下機能が低下=「障害」のある状態ではない

・原因:脳血管疾患、加齢に伴う筋肉量の減少、味覚・嗅覚の変化、口腔乾燥、反射機能の低下

・むせるのは誤嚥ではない、誤嚥によって必ず肺炎になるわけではない

・誤嚥はだれにでもある

・誤嚥性肺炎で禁食⇒嚥下機能の低下⇒低栄養の進行

・口腔機能の低下に対するアプローチ運動の必要性

*口腔機能の低下に対するアプローチ運動:歯磨き後に口をすすぐ“ぶくぶく”を日頃から水なしでできるとき  に

 

★筋肉をつけるにはタンパク質を

・肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などからバランスよく摂ることが重要

・エネルギーが不足していると筋肉を分解し、エネルギーとして使うことで筋肉は減る

・かみやすい、呑み込みやすいものを

・栄養のバランス、油の活用、とろみをつけ、少量でも(離乳食と似ている)

・質の良い睡眠

・ストレスをためない工夫

 

★呑み込みにくいものとは

・パサパサ、ぼろぼろ(ばらけやすい)、さらさら(むせやすい)、ペラペラ(はりつきやすい)

 

★食べないと元気にならない?

・食べないから元気にならないのではなく、元気がないから食べられない

・食べられない原因を考える:体調が悪い、歯の問題、嚥下障害

★「食べること」は特別なこと

・生きる楽しみ、生きがい

・食べることと、呼吸はやめることができないこと

 

一見関係なさそうな、「食べること」と「床ずれ」。今回の講演で、これほど密接な関係があることを知り、驚きでした。こういうことは専門職だけでなく、だれもが介護者になるかもしれないことを前提に、さらに自身の健康管理のためにも知っておいた方がよいことかと思います。

講演の後は、専門職の方々がグループに分かれ、困難ケースへの対応を検討し、発表するグループワークが行われました。