高次脳機能障害への支援

都の高次脳機能障害の相談・啓発事業と区の委託事業ミニデイサービス(月2回)を実施しているVIVIDの池田さんから学ぶ (新宿区の支援促進事業費:セミナー開催と相談事業100件/年)

高次脳機能障害って?

○東京都で5万人、新宿区では1千人いるはずだが、サービス提供できる人は20人しかいない

○特徴:障害の認定の基準

 脳の器質性の障害で後天性、脳に傷がある(ただし、びまん性脳症は画像ではわからないため医師の判断) 

一口に高次脳機能障害といっても見える症状はひとそれぞれ  身体、精神の手帳を持っている人が多い

109項目の診断基準ができ、主治医が診断する →自治体向けの「地域支援ハンドブック(改訂版)」「高次脳機能窓外の理解と支援の充実を目指して」参照

制度制定の経緯  

現在狛江市在住の田辺さんが、21歳で高次脳機能障害になり福祉サービスを受けようとしたが、身体に障害がなく、18歳以降の発症のため知的障害にも認定されず手帳を取得できなかった。そこで1996年、国会議員に訴え、2001年に国のモデル事業として高次脳機能障害支援がやっと始まった。(朝日新聞多摩版2012年11月1日付掲載)

支援の現状

○家族会:東京高次脳機能障害家族会(TKK)

 小平・東村山・東久留米・西東京・清瀬の家族会「絆」

 ○居場所

  デイサービス:リハビリ施設はあるが、高次脳にあったデイサービスはあまりない

  VIVIDでは高次脳に特化したミニデイを月2回土曜日に実施:家族も一緒に参加 利用料一人1000円(昼食付)

本人は生活機能訓練(記憶、顔の筋肉の体操、日記を書き発表、朗読劇、認知リハビリ、音楽セラピー、折り紙、料理など)→自覚することで必要な支援を考える、仲間と一緒に訓練することで刺激を受けできるようになる。若いほど回復が見込める。

家族プログラムを行い考え方の指導(専門家による学習会も時々実施)

 ○就労

新宿区:ジョブコーチをおいて実施   

東京都心身障害者センター 就労支援診断の前の就労のマッチング  どういうことならできるのかを分析し就労移行支援事業 →合う施設をマッチング(オーストラリアの制度が参考になる)

現場からみた課題と今後望まれる方向性

  軽度から重度の判断基準が、身体的なものに偏っている

それぞれにどのような支援があれば自立した生活が送れるのかという診断基準を変え、医療だけでなく福祉もケアマネがサービスを組み立てるしくみが必要

二次医療圏ごとに拠点を作り、自治体単位ではできない相談や支援事業を専門的に行う

数の力を活かすために家族会を作り、行政に交渉することが必要、また、家族会の支援も必要

 高次脳専門のデイを作る(他のデイでは合わないケースが多い、スタッフの高次脳の障害に対する専門的知識も必要)

高次脳専門のデイサービスは対象者が少ないため、自治体としては難しいが、NPOなどに委託したらどうかともちかけることはできる。(家族会が社会福祉法人を取得し、委託を受けるというケースもある) 

 ・東京都の方向性

区市町村高次脳機能障害者支援促進事業

二次医療圏ごとに専門リハビリの12か所のうち4か所の病院を拠点におこなう。地域リハビリ支援センターを26か所設けている

国の障害への施策を一本化していく方向性は、高次脳にとっては歓迎