日本国憲法と安倍政権 ー「わたくしは日本国憲法です。」出版記念講演 弁護士 鈴木篤氏―
日本国憲法の平和主義こそ、真の積極的平和主義である
9条のいう戦力を持たず、武力行使をせず、戦争をしないというのは消極的平和主義であり、前文こそが積極的平和主義であるため、9条は前文とともに理解する必要がある。
前文では、
第1文:民主主義が平和の土台であること
第2文:恒久の平和をめざすこと
基本的人権の相互尊重がその基礎であること
専制、隷従、圧迫、偏狭、恐怖、欠乏これらがあるなら平和ではなく、これらが戦争の根源。
第3文:したがって、これらを全世界から永遠になくす取り組みで、日本国民は全世界の先頭に立ち、国家の名誉にかけ、全力をあげて、その達成を誓う
とうたっている。
まさにノーベル平和賞を受賞されたマララさんが、同様のことを会見していた。
平和の前提に民主主義がなければならず、一時的ではない恒久の平和をめざすこと、
政府の行為により再び戦争の惨禍が起こることがないようにすること、
専制、隷従、圧迫、偏狭、恐怖、欠乏を永遠に地上から除去すること、
名誉ある地位を占める、国家の名誉にかけ全力をあげて達成する
ということを意味している。
ところが戦後、私たちは何も学ぶことなく、過ごしてきてしまった。
戦争の失敗から学び、なぜ戦争をとめることができなかったのか学ぶ必要があった。
自国以外でどんなことが起こっているのか学び、なくすために何をしなければならないのかを考えることも必要だった。
それを実行するために、旧教育基本法前文では、教育が保障されることではじめて人権が守られること、その10条では教育は不当な支配に服することなく、支配は教師でも許されず、憲法を守るために教師と子どもの間の取り組みに委ねるべきであり、行政は環境整備に徹すべきというものだった。
集団的自衛権行使容認により何が起ころうとしているのか
・自衛隊法の改正
専守防衛からの根本的変更、自衛隊の任務の変更・拡大、指揮命令系統の迅速化
指揮命令系統の整備と集中化を図るための諸法規の整備による中央統制の強化
・国家安全保障基本法の策定
2012年7月に自民党総務会で決定
地方自治体に国と協力し安全保障に必要な施策を実施する責務を負わせ、教育をはじめとする各分野において安全保障上必要な配慮をおこなわなければならない
・通信傍受法の改悪
室内傍受を可能にすること
・共謀罪
盗聴法と特定秘密保護法を結びつける法で、実行しなくても刑法が適用される
安倍総理は、大東亜戦争について侵略戦争ではなく、聖戦であったとしており、次には負けないように戦争をすることを考えているはず。
すでに、地方自治体では自主規制が始まっているところもある。政権批判につながりそうな講演会は、公共の施設から締め出されかねないことが起きている。おかしな状況については、私たち市民が声をあげ続けなければならない。
今後私たちは何をしなければならないのか。集団的自衛権行使容認の閣議決定はあくまで内規という位置づけであるが、具体的な実行につながる法整備は全力で阻止しなければならない。