こどもにやさしいまちづくり「地方自治と子ども施策」~全国自治体シンポジウム~その1

 

今年は全国から参加者が西東京市に。

先日、西東京市で、“こどもにやさしいまちづくり”をテーマに開催された「地方自治と子ども施策」全国自治体シンポジウムから報告します。

~ユネスコ認定「赤ちゃんにやさしい病院」のあるまち 北海道芽室町 ~

 

人口19,000人と小規模ながら、自前の周産期医療の病院を持ち、子どもにやさしいまちを目指している芽室町。14歳までの年少人口も全国平均の12.9%(25年度)を上回る15%となっている。

 

教員を町予算で子育て支援課に配置し、連携が難しい教育と福祉をつなぎ、発達支援システムにより0歳から20歳までの支援を実施している。そのシステムにおいては就労体験の機会を町の基幹産業である農業により実現しているとともに、地域で自立した生活を送るためのグループホームを用意するなど、「芽室町子どもの権利に関する条例」にある発達支援を要する子どもの「育つ権利」「参加する権利」を保障している。この保障により支援が必要な子どもたちが納税者となるなど、これまでの「挑戦させないこと」への反省にもつながっている。今後はレストラン事業も行うなど、働く場を増やしていく予定だ。

 

 

 

「ゆめづくり地域予算制度」で市民の主体的まちづくり 三重県名張市

 

人口約8万人、三重県の西部にある関西都市圏のベッドタウンとして昭和30年代の大規模住宅開発により発展してきたまちだが、2000年をピークに人口減少に転じている。

 

2003年、地域住民が自ら考え、自ら行うことをめざし、「ゆめづくり地域予算制度」を創設。これまで地域向け補助金として資源ごみ集団回収、地区婦人会活動、青少年育成団体活動、老人保健福祉活動などに年間38百万円程、項目別に配分していた予算を50百万円に増額し、15の地域の「まちづくり組織」にまちづくり活動費として一括交付している。地域内分権を進めることで、コミュニティーの再生や地域力の強化につながっている。

 

 

 

子どもにやさしいチェックリスト ヨーロッパ子どもにやさしいまちネットワーク

 

子どもにやさしいまちはすべての人にやさしいまちだ。ユニセフが作成した「子どもにやさしいまちチェックリスト」がヨーロッパの多くの国や地域で活用されている。一定の基準を満たした自治体には認定証が発行され、自治体の格付けになっている。このように、社会における生活の質の向上に子どもが寄与するようになっている。

 

子どもたちは冒険できる遊び場を求めているが、ヨーロッパにおいても子どもの遊び場は減り、公共空間における子どもの存在が目立たなくなったことで、子どもが社会の一員であることを大人が認識しにくくなっている。各自治体では、市民にイベントの開催を奨励しており、近所の人と食事やスポーツやレクリエーション活動をし、子どもがかつてのような存在感を示すことを奨励している。子どもの参加は都市計画、移動可能性などのテーマに子どもの視点を入れる戦略となっている。                

 

 

子ども参加は、子どもの権利条例があたりまえというヨーロッパの各自治体においてもなかなか難しいということで、日本においてもこの20年ほとんど進んでいない。だからと言ってこのままあきらめていては何も変わらないのだ。“こどもにやさしいまちはすべてのひとにやさしいまち“なのだから。