見方を変えれば子どもは変わる

子どもたちによるけん玉の演技(2015年地方自治と子ども施策シンポジウムより)

東京・生活者ネットワーク子ども部会の学習会を紹介します。講師は米国で学校作業療法士として勤務された北里大学医療衛生学部の高橋香代子さんです。

 

★学校は地域社会の縮図=子どもたちの育ちのチャンス

・様々な年齢の子どもたち+大人

・共通の目標に向かうという明確なゴールがない

・構造化されているようでいないが暗黙のルールがある

・誰かがやってくれる→おたがいさまでの助け合い

 

★子どもの育ちに必要なこと

環境との関わりの中で自発的・主体的にトライアンドエラーを繰り返していく

 

★主体性・自発性の大切さ

・子どもの「内的欲求」による能動的な学びが重要

・「やらされている」では学ばない→やりたい、やってみたいことを引き出す

・「べき論」にあてはめようとしない

 

★物的環境・人的環境

・物的環境の与える影響:物があることでやってみたくなる

・人的環境の与える影響:ライバル、お手本、教えることからの学び

 

★私たちが「子どもの育ち」のためにできること

○子どもたちが主体的になれる物的環境・人的環境・場の提供

・障がいの有無にかかわらずともに楽しめるインクルーシブな場、ユニバーサルな環境

○子ども同士の育ち・学びを促す

・子どもが子どもを理解し許容できる、子ども同士が助け合える

    子どもたちみんなが多様性への許容と応用力を持つ

 

★子どもの発達とは

・自分らしく大きくなっていくこと

・発達障がいとは特性が目立っている→生活に支障が出る場合に「障がい」→手帳は特定のことに必要なサポートを得るためのパスポート

・発達支援の視点:自分らしく地域社会に馴染んでいけるように

 

★アメリカにおける学校作業療法士の動向

・公立小学校への配置が義務化

・生徒が学校生活の活動や作業に参加できるように支援

・障がいがあってもなくても学校や本人・保護者が必要と考えれば

・卒後の就職、自立生活、進学に向けての準備の支援、生徒全員に向けても自分自身で気持ちの折り合いのつけ方をみつけるなどの支援も

 

★アメリカの特別支援教育

○学校内

・学習支援室(だれでも、母語が違う場合も)

・普通学級には教師1名と補助教員複数名

・特別支援学級には医療的ケアや感染症にかかった場合

○学校外に特別支援学校(高学年の筋ジストロフィーや重度心身障がい)

 

★日本での作業療法士の動向

・特別支援学校に配置、一般の学校へは巡回により教員に助言=子どもに接しない

 

★作業療法士のめざすところ:子どもと周囲の大人のエンパワメント

 自らの無限の可能性を知り、自分で試行錯誤しながら生きていく力を身につける

★大人のミッション

・子どもたちが安心できる場の提供:あるがままを受け止める、受け入れる度量

・集団として子どもたちが自分たちで考えて支え合えるように支援

 子どもたちの相互学習を信じて見守る勇気